晴れがましいはずのクリスマスの朝、客人を迎えるストレスから生じた口げんかがすべての始まりです。母娘であれば誰にでも覚えがあるような、ホームドラマのような1こまがユーモラスです。作者は日本版書き下ろしメッセージ(巻末)で「この作品を執筆する何日か前、実際に母親とクリスマスの七面鳥料理の仕方で言い争いになった」と告白。親子のやりとりがリアルに感じられるのは、そんな理由もあったのですね。子どもより大人が共感してしまいそう。主人公は6歳ですが、ぐんと親近感が湧いてしまいます。
さて、家を飛び出したフランチェスカの楽観、彼女を追う家族の悲壮感を経て、ストーリーはアップテンポで進みます。クリスマスに起こった出来事ですが、描かれているのは家族愛。子どもを想う親の愛がいっぱいつまった作品です。最後の落ちはジョークなのでしょうか。イラストはシンプルでコミカル。ベレー帽姿のフランチェスカがおしゃれなフランスの絵本です。
――(ブラウンあすか)
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