はらっぱへ遊びに行った女の子は、「ばったさん、あそびましょ」と、草の葉にとまっていたバッタを捕まえようとしますが、逃げてしまいます。
カエルも、カメも、リスも、かけすも、ウサギも、ヘビも、みんな捕まえようとすると逃げてしまいます。
誰も遊んでくれないので、池のそばの石に腰掛けてじっとしていました。
すると、バッタが戻ってきて、草の葉にとまります。
カエルも戻ってきて、草むらにしゃがみます。カメも、リスも・・・みんなもどってきました。誰も、もう怖がって逃げたりはしません。
シカの赤ちゃんがやってきて、少女のほっぺたをなめます。
ぽかぽかと暖かい日差しの中で、女の子と動物たちとのやりとりを描いています。
描写が細やかで、女の子の心情の変化が読み手にも伝わってきます。
クリーム色を基調とした色使いと柔らかなタッチの挿絵で、とても穏やかな気持ちになります。
また、うしろでずっと笑顔の太陽が見守っているのも、大事なポイントかもしれません。
最後の女の子の言葉がとても印象的です。
「ああ わたしは いま、とっても うれしいの。とびきり うれしいの。」
「なぜって、みんなが みんなが わたしとあそんでくれるんですもの。」
日常に疲れたとき、ゆっくりとこの絵本を開いてみてください。
この作品が気に入った方は、同じくマリー・ホール・エッツの名作「もりのなか」「またもりへ」(以上福音館書店)をぜひ読んでみてください。
(金柿秀幸 絵本ナビ事務局長)
続きを読む