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きつねに家をとられてしまったうさぎが、おおかみや、くまや、うしに助けをもとめますが、誰もきつねを追い出すことができません。そこへおんどりがやってきて…。ロシアの昔話をダイナミックに描く味わい深い絵本。
氷の家に住む狐と、木の皮の家に住むうさぎ。春になり、狐の家が溶けてなくなった。きつねはうさぎを脅して家をのっとったが、うさぎを助けようといろんな動物たちが協力し…
ロシアの民話。見栄っ張りで自己中心的な狐は、無理難題をふっかけて自分だけ得をしようとする権力者を思わせる。かたや、地味で手堅い暮らしで満足するうさぎは庶民か。土地・建物をめぐる争いは、いつの時代でも、どの地域でも起きている。人間だけではなく、動植物もいい場所をめぐって縄張り争いをする。
そんな生き物の生存競争や、権利・利益をめぐる争いを、きつねとうさぎというキャラクターに例えて、上手いこと面白いお話にした。
いつの時代に、誰が作った話かわからないが、更にそれを現代の作家たちが、工夫をして、読者にいろんな楽しみや、知恵や、考える時間を与える作品に仕立てている。
昔の民芸品のような絵が、雰囲気を盛り上げている。
昔話独特の、繰り返しの表現が物語を面白くしている。
きつねがスカート(らしきもの)をはいているので、強欲おばさんを連想。地上で一番強い生き物は、人間の中高年女性だと私は思う。 一番恐ろしいのは、目先の欲に目がくらんだ上、自分がよければ他人はどうなってもいいと本気で思える人間だ。
物語の本文には書いていないけど、絵を見るといろんなことを思う。面白いが、ちょっと考えさせられる絵本。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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