
「これから、あっちゃんは、おとうさんと おかあさんと あかちゃんといっしょに おふろやさんにでかけます。」 はじめのこの一文を最後に、あとは文字がでてきません。 おふろやさんを細かく描いた絵が、ある日のおふろやさんの様子を伝えてくれます。 下駄箱にくつをしまい、脱衣所へ。 お年寄り、子ども、太った人、やせた人、おふろやさんにはいろんな人たちがいます。 湯船で騒いでおじいさんに叱られる子どもたち。 男湯と、女湯。 おふろやさんに集う人たちそれぞれの生活、それぞれの一日を感じ取ることができます。

銭湯を知らない人でもこの絵本を見たら、必ず行ってみたくなること請け合います。行けばそこは別天地。大人は肩まで湯につかり、子どもはたっぷり遊べます。まずは絵本をご覧ください。

【安藤パパ】 銭湯が好きだ。むかし、一人暮らしの貧乏アパートには風呂がなく毎晩、近所の銭湯に通っていた。そこはコミュニティ。身分も年収も問われず、ただ汗と疲れを流しながら隣人と他愛ない会話を交わすだけの平和な世界。そして悩み多きダメな自分と裸で向き合える場所だった。 本書はある秋の日、小さな子どもがいる家族が町の銭湯に出掛け帰るまでを、セリフなしのサイレントで淡々と描いた作品。舞台は70年代の東京だろうか。壁に描かれた富士山の絵、その下のレトロな広告、湯船で真っ黒に日焼けした悪童たちが潜水してるのを叱るご隠居の姿に、思わずノスタルジーを覚える。また現代とは違い、湯屋に集まる人数が大勢で、その人たちが皆、精一杯に「今日」を生きてきた充実した顔をしているのが、とても印象的だ。 あれから10年。結婚して子どもが出来た僕は、最近また銭湯に行くようになった。 「ママー、出るよー!」。ほんわり桃色に染まった娘が女湯にいる妻に声をかけると、湯気の向うから返事が帰ってくる。「分かった〜。ちゃんと温まったのぉ?」。やっぱり僕は、銭湯が好きだ。
★関連絵本 『はだかんぼうがふたり〜おとなっていいなあこどもっていいなあ』(サンリード刊)

古き良き時代の懐かしい風景が広がって、目が釘付けになってしまいました。今はもう見かけないお風呂屋さんの様子。自分もおふろやさんに行った経験はあまりないのですが、この本を開くたびに、なつかしく、あたたかな気持ちになります。もちろん子供たちもおふろやさんを知らないはずなのですが、細か描かれている建物や人々の様子に興味津々。だまってずっと眺めています。言葉はありませんが、絵にストーリーがあるので、自らお話をつくることも出来そうです。
まるで親子でタイムスリップして、昭和のお風呂屋さんに行っているかのような気分が味わえますよ。 (クッチーナママさん 30代・ママ 女の子7歳、女の子4歳、男の子2歳)
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