エリック・カールの今度の新作はちょと豪華。カールお得意の動物達が88ものページのなかにいきいきとたくさん描かれています。もちろんオールカラーで。そして、登場する動物達ひとつひとつに「ねこはしる」などで人気のくどうなおこさんが詩をつけているのです。くどうさん曰く、「耳をすませてみんなのおはなしや歌声を聞いてかきとめて」みたそうです。この「耳をすませてかきとめる」という感覚、いいですねぇ!楽しそうですね。
登場する役者は・・・大きな大きなくじらからちっちゃなけむし、遠い国のらくだや、時を越えた便りをとどけてくれた恐竜、お返事に子孫を代表してとかげくん、はたまたこうもりからみつばちまで。もちろんおなじみの可愛い動物達もたくさん。どれどれ、ちょっとぞうさんのひとりごとに耳をかたむけてみましょう・・・。
なんと、題名が(ざんねん)。気になりますねぇ。「ぞうが(ざんねんだなぁ)とおもっていることがある おれはからだもでかい 耳も花もでかい 四つの足ももちろんでかいし キバもでかくてじつにりっぱ だがなぁ・・・」ふふ、何が残念なのか、続きは読んでね。
この本の題名は「みんないきてる みんなでいきてる」です。地球上の動物たちがいきいきと生活している姿や力強いその姿やきれいな姿を1ページ1ページじっくり眺めて、一匹一匹に添えられている詩を読んで味わって。そうしていると、自然と「みんないきてる!」と強く感じられてくる様な気がします。そしてそれはとってもこの絵本にとって本質的な事だと思います。
地球上のすべての自然に目を向けてしっかり観察する、耳を傾けてどんな声を発しているのかしっかり考える。そういう基本的な姿勢が自然を守る、環境を守る、地球を愛する、という考えにつながっていくんだ、というメッセージが明確に伝わってきます。もちろん、絵本にはそんな小難しい雰囲気はひとつもありませんけどね。要するにみんなで楽しもう、ってことかな?
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
続きを読む