「レモネードを売ったお金で、病気の子どもを助けたいの」。わずか4歳の女の子が始めたレモネード屋さんはアメリカ中に広がり、子どもたちにたくさんの夢と勇気を与えた。ひとりの少女が残した感動の物語。
米国の夏の風物詩に、子どもたちのレモネード売りがあります。まず家の前に値段を記したポスターを貼ったテーブルをセット。その上にレモネードの入ったピッチャーと紙コップを置いて、1杯50セントぐらいでレモネードを売るのです。(昔は25セントぐらいだったけれど、今は50セント〜75セントぐらいでしょうか。)たいていは自分のお小遣い集めが目的ですが、この絵本の主人公アレックスは自分が小児ガンにおかされ命が短いことを知り、ならば、1日も早くガン克服の研究が進むようにと願い、売り上げを病院に寄付するためのレモネード屋さんを始めました。このとき彼女は4歳。幼心にも研究にはお金が必要なことを知り、素直な気持ちでレモネード屋さんを思い立ったのでしょう。
アレックスのレモネード屋さんは評判を呼び、遠くからレモネードを買いにくる人たちがたくさん出てきました。翌年からはさらに売れ、最後の年には自分だけでなく、同じ境遇に置かれた子どもたちみんながいっしょにファンド・レイジングすれば資金はもっと早く多く集まることを思いつき、まわりにも呼びかけていきます。たった1人で始めたレモネード屋さんはメディアに取り上げられたこともあり、考えられないほどの多額を寄付するに至りました。
絵本には小さなアレックスの活躍ぶりが、明るいイラストと韻を踏んだリズミカルな文章で紹介されています。米国の絵本・児童書サイトで紹介されていた作品で、わたしは原書(”Alex and the Amazing Lemonade Stand”)でしか読んでいませんが、邦訳も今夏出たことを知りました。
アレックスは昨夏、安らかに息を引き取りました。享年8歳。でも、彼女の意思は多くの子どもたちの中に生き続けますね。娘はまだ「死」とは何かなどまったくわかっていませんが、強くてやさしい女の子がいたことをいつかこの絵本を通して知って欲しいと願っています。
わたしは「夢のレモネード屋さん」という名称が大好き。アレックスの願いがそのまま込められているからです。 (ムースさん 40代・ママ 男の子11歳、女の子5歳)
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