なんだか急にカレーライスが食べたくなってきた時、「きょう ゆうごはん なにが いい?」ってママが聞くから。ぼく、言っちゃうよね。
「カレーライス!」
八百屋さんで会ったくんちゃんに「きょう ぼくんち カレーライス」って自慢したら、くんちゃんも食べたくなっちゃって、聞いていた八百屋さんもなんだか食べたくなっちゃって。お肉屋さんも、つけものやさんも、曲がり角であった裏のおばあちゃんにまで「なんだかカレーライスが食べたくなっちゃう」気分が伝染していきます。とうとうレストランにも「カレーライスプリーズ」って注文が入り…!?
ああ、わかりますよね、この現象。そろそろ食べたいなあと思っていた頃に「カレーライス」っていう言葉を耳にしてしまったら、もう頭の中にはカレーの味が広がってしまって止まらないのです。これを「カレー食べたい病」というのでしょうか。強力な伝染力です。
そして最後の一押しが、どこかの家から漂ってくる「カレーの匂い」。もう、この頃には絵本に登場するほとんどの人が病にかかって、うっとりした顔をしています。
「みんながカレーを食べたくなる」というシンプルなお話なのだけれど、つちだのぶこさんが描く商店街や食卓はなんだか懐かしく、ユーモラス。どのページにもずっと眺めていたくなるような情報がたっぷり詰まっていて、何回読んでも飽きることはありません。そして、なにより“ぼく”のうちのカレーライスが最高に美味しそうなのです!
この絵本は、「今日はカレーにしようかな」って思っている日に読むのがオススメです。だって、読んだ後に本当にカレーを食べられる幸せっていったらないですよね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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