ユーモラスで、想像力に富んだ、木製の小さな人形―彼女は語りはじめる。「私のいる棚の下の窓わくに、一艘の漁船がいかりを下ろしている、そこからは潮の香りがただよってくる…」彼女は思う、その船の船長が、いつか自分に会いに上がってくるのではないかと。彼女のここちよい生活に欠けているただひとつのもの―ロマンスと一緒に。彼女は思う、大好きな犬や貝のコレクション、こだわって選んだ調度品、おいしそうなせっこう細工の食べものたちは、船長と共有することで、いっそう、その価値が高まるのだと。この作品でゴフスタインは、ミニチュアの世界の静かで、あたたかな物語をごくシンプルな線で描き出す。そして詩人の谷川俊太郎が、簡潔で洗練された日本語訳を添えて、その世界の魅力を私たちのこころに届けてくれる。
人形のの女性が見下ろす場所に置かれた船の模型に思いをはせる、不思議なお話です。
他に登場するのはみなおもちゃ。
動くことのできないものたちがそのままで、恋物語に参加していく、独特な世界です。
大人向けの絵本ですね。 (ヒラP21さん 60代・パパ )
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