長年アフリカの森でゴリラを研究している霊長類専門家がゴリラ語を取り入れて書いた絵本。朝起きてから一日を終えるまでのゴリラたちの生活ぶりが、赤い帽子をめぐる出来事を通して丁寧に描かれます。
表紙を始め、森の色「緑」が印象的な作品です。見開きページ上下に施された緑色の鮮やかな縁どりが森林の存在をさらに強調し、赤い帽子を引き立たせています。「ぐっ ぐうううむ」「ぐふぐふっ ぐごっ」などゴリラ語だけで表されたページは、ゴリラたちが何を言おうとしているのか想像力がおのずと働き楽しめますよ。
コンゴの豊かな自然の中で営まれる野生ゴリラと人間たちの生活ぶりは、懐かしさにも似た余韻を残します。素朴な水彩画が温もりを加味しているともいえるでしょう。野生との共存が、この一冊でグッと身近になりそうです。巻末にゴリラ語の解説と、歌『ゴリラとあそぼう』が楽譜付きで紹介されています。
――(ブラウンあすか)
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