「みるな」と、あねさまからかたくいわれた12番目のくらの戸を、ついにあけてしまった若者は……。日本の四季が息をのむ美しさで描かれた昔話絵本です。
小澤俊夫さんの講演会で赤羽さんとの作品について聞くことができました。
福音館書店からお二人のコンビで出た昔話絵本は5冊あるそうです。その最後の作品が『みるなのくら』です。
1990年に赤羽さんは亡くなられていますので、本当にこの作品が赤羽さんが作られた最後の昔話絵本となったわけです。
お二人で昔話絵本を作られてかかった歳月は12年。
『みるなのくら』は、赤羽さんの方の絵が先にあったそうです。
一のくら、二のくらと開ける場面では、お正月から始まる日本の行事が展開していきます。
この赤羽さんの絵があまりに素晴しかったので、小澤さんはこのページには、文章は少なくてもよいと思い、文章を削られたのだそうです。
それをお聞きして絵本を見てみると、小澤さんのおっしゃられたとおり、文章は最低限で絵の美しさを堪能できます。
このお二人が出会われて作られたということが、本当に素晴しく、これらの作品群は、子どもたち、孫の世代まで伝えていきたい傑作だと思います。
赤羽さんのエッセイによれば、『つるにょうぼう』から和紙を二種類使うことを始められ、
『そばがらじさまとまめじさま』では、八種類の和紙を使い分けられたそうです。
赤羽さんの1980年代の昔話絵本と、1960年代の昔話絵本を今回改めて見比べて見ましたが、
同じ作者ですが、明らかに違います。
言うなれば、この作品は赤羽さんの昔話絵本の集大成のような作品です。
大人がまず作品の素晴しさを知り尽くして、子どもたちに伝えていきたい絵本だと思いました。 (はなびやさん 40代・ママ 男の子8歳)
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