11ぴきのねこたちが、コロッケ屋をはじめます。
「さあ、できたてのコロッケはいかが」
コロッケ屋は大繁盛! ねこたちは毎日せっせとコロッケをつくります。
ところが、そのうちに少しずつ売れ残るようになり、ねこたちは毎晩コロッケを食べ続けることに。今日もコロッケ、明日もコロッケ。
「あー もう コロッケはあきたよ」
ねこたちは、思うのです。
「おいしい鳥の丸焼きがたべたいねえ」「たべたいねえ」
そこへやってきたのが…なんと一羽のあほうどり!
旅の途中だというあほうどりは、コロッケをわけてくれないかと頼みます。
11ぴきのねこたちはというと…目をピカピカ輝かせています!!
「ニャゴ ニャゴ」「シーッ」
あほうどりくん、大丈夫?彼は無事に家に帰れるのでしょうか。
馬場のぼるさんによって1967年に誕生した、とらねこ大将と10ぴきの仲間の愉快な冒険物語「11ぴきのねこ」は、50年以上経った今も愛され続けているシリーズです。本作『11ぴきのねことあほうどり』は2作目。あまりにも美味しそうなコロッケが、子ども達の心に鮮烈な印象を残す人気の1冊です。
いつもお腹を空かせ、欲深くて、ちょっとずるいねこたちと、疑うことを知らない純心なあほうどりのやりとりを、読者は緊張しながら見守ります。ところが、物語は意外な方向へと大きく転換していくのです!(そこから、子ども達が何度読んでも笑い転げるあの名シーンへとつながるんですね。1わ、2わ、3ば、4わ……)
やり込めているようで、やり込められる。狙っているようで、全然違う展開へとすすんでいく。どこか間の抜けた11ぴきのねこたちの愛らしさが、シリーズ全体を笑いと温かい雰囲気で包みます。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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