昔、あるところにとても流れの速い大きな川がありました。どんな橋をかけても流されてしまうので、村の人は困りはて、腕のいい大工に工事をお願いしました。 しかし、引き受けてはみたものの大工も本当に作れるのか、心配になってしまいました。そんなとき、大きな鬼があらわれて、「おまえの目玉をよこしたら橋をかけてやる」と言います。次の日、川へ行ってみるとどうでしょう。おどろいたことに、りっぱな橋が半分できていたのです……。
さあ、本の表紙の鬼の絵を見てください。からだも巨大だし、手も口も大きくておそろしそう。こんな鬼に「目玉をよこせ」なんて言われてとっても怖いはずなのに、この大工ったら、「おれは、どうでもいい」なんて返事をしてうちへ帰ってしまうのです。ええっ、そんな適当な返事をして大丈夫なの? とびっくりしていると、ここからさらに意外な展開が待ち受けています。
でも、誰だって目玉をとられるのは困ってしまいますものね。鬼と大工の知恵くらべ、いや、運くらべの始まりです。おおらかな大工と鬼のやりとりは、スリリングだけど、なんとも言えないおかしみをかもしだしています。「してやったり!」「やられたー!」というお互いの心の声が聞こえてきそうな、ころころ変わる鬼と大工の表情にも注目です。
会話のテンポや擬音表現がおもしろいので、ぜひ声に出して楽しんでみてください。最後の大工のセリフは、お子さんと一緒に大きな声で読みたいですね。
(光森優子 編集者・ライター)
続きを読む
橋をかける大工と目玉が欲しい鬼の取り引き
何度橋をかけてもたちまち流されてしまう川に、橋をかけるよう村人に依頼された大工が、川岸で思案していると、鬼が現れて、目玉とひきかえに橋をかけてやるといいます。いいかげんな返事をしていると、2日後にはもうりっぱな橋ができあがっており、鬼は目玉をよこせとせまります。「おれのなまえをあてればゆるしてやってもええぞ」と鬼がいうので、大工は……。日本の昔話の絵本。
【田中パパ】 川から鬼が現れるシーン、そして「めだまぁ よこせっ」と大工に詰めよるシーンのインパクトが強かったらしく、何度も何度も読まされた。 そのつど、鬼のキャラを変えて読んでみたら、かなり楽しめた。怖い声、ずる賢い声、サイコっぽい声、間抜けな声などなど。
「だいくとおにろく」とは、僕がまだ絵本の読み方なんて
あまり考えていなかった頃、近くの絵本屋さんを探そうと
ネット検索したところ、偶然パパ´sプロジェクトを発見しまして、
その中で田中パパが、この本の読み聞かせにはすごく自信を
持っているということを書かれていまして、
絵本を上手に読むってどういうことかと興味を持ったのと、
自分の十八番の絵本があるってカッコイイなぁと思い、
では手始めに「だいくとおにろく」とやらで自分の技量を
試してみようと買ったのがこの本で、
今のコレクション(趣味)にも大きく影響したことは間違いないです。
絵本屋さんで手にして、いざ買おうとした横から嫁さんが
「買うのぉ?」「お話しが尻切れみたいだけど、気に入ったのぉ」と
全く乗り気じゃなさそうでしたが、
(「買うって決めて来たんだからごちゃごちゃ言わないのっ!!」と
心の中で嫁さんをけん制して)レジに行ったことを今でもよく覚えています。
さて本題は「だいくとおにろく」を読んだ子供の反応ですが、
初めは、息子も3歳になるかならないかくらいで、
画面に大きく書かれた(にたにた笑う)鬼を怖がったようでしたが、
それも束の間、「うんにゃうんにゃちがぅあう」とか
「聞いたぁぬぅあぁぁぁ」のようなセリフに抑揚と、
凄味の利いた声やコミカルな声など日々違った読み回しをすると、
すぐにお気に入りの絵本になりましたよ。
野太い声なんかはなかなかママでは出せませんし、
この本は多くのパパが待ち望んでいる、
パパのための十八番絵本ではないでしょうか?!
また挿絵の点でも、(僕の中では)赤羽末吉さんの最高傑作だと思います。
画を拡大して額に入れて飾りたいくらいです。
絵本も出会いだなぁとつくづく思います。
(追伸:最近読み聞かせに力が入った作品にはこんなのがあります、
「すっとんだちょうべい」
(ラジオの中の読み聞かせコーナーで朗読されたのを聞いて
すぐに本屋さんへ走って買っちゃいました)や、
「じごくのそうべえ」 (嫁さんも使い慣れない関西弁と、屁ブクロに夢中です)
まだまだ鍛練の日々は続きます) (伴門陶汰さん 30代・パパ 男の子4歳)
|