朝6時、駅のホームの売店には新聞やパンなどが運び込まれています。7時過ぎには通勤・通学客でホームはいっぱいになり、女の人が靴を落として駅員さんに拾ってもらいました。終点の列車が到着すると、そうじの人たちが乗りこみ、ゴミや落とし物を片づけます……。東京の新宿駅をモデルに、プラットホームの1日のようすを、訪れる人、働く人とともに詳細に描きます。
電車好きの息子が2歳から4歳のころ、繰り返し読んだ本です。
新宿駅の始発から終電までの様子が描かれています。駅自体がテーマで、電車がメインではありませんので、電車好き以外の子どもも楽しめると思います。
6時の時点ではホームはまだまばら。売店に新聞を運ぶ人、サンドイッチを買う人、ホームには悠長に鳩までいますが、7時にもなると通勤客でごった返し、ホームも階段も終電まで、人、人、人。
駅員さんだけでなく、駅にかかわるすべての人の仕事の様子も細かに描かれます。線路に落とした靴を拾う駅員、清掃員、皆の分まで昼食を作る駅員。昼食をとる女性清掃員たちの会話が楽しい。「おいなりどうぞ」とおかずを分け合う姿には笑えます。
乗客も様々。サラリーマンや学生に交じって、迷子になる子、遠足の小学生、おしっこを漏らす子、電車に忘れものをする子、急行電車でスキー旅行に行く若者、酔っぱらいのおじさん。様々な人間ドラマが一言のセリフとともに描かれます。
新宿といえば今や一日の利用客数が100万人を超えるマンモス駅。新宿駅の雑踏はカオスです。終電でやっと静かな駅が戻ってくると、読み手もなぜだかほっとしてしまうほどです。
小さく書かれたセリフを一つ一つ読むと子どもは喜びます。そして話が広がり、いつまでも飽きることがありません。
駅の一日を俯瞰で見ることができる絵本は、社会の仕組みを学ぶ第一歩ともいえるのではないでしょうか。 (Tamiさん 40代・ママ 男の子5歳)
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