今日はわくわくやまに遠足に行く日。
とびきり楽しい遠足にしようと、みんなで約束していました。
ところが・・・キツネくんは、家にいます。
足をケガしてしまって、遠足に行くことができないのです。
(わくわくやまは、どんなだろう)
(みんなは、なにして、あそぶんだろう)
(きっと、やすんでいる ぼくのことなんか、わすれちゃうくらいたのしいんだろうな)
子どもたちにとって遠足は、行くずっと前から楽しみにしているイベントです。
キツネくんは、どれほどさびしい気持ちでいることでしょう。
その頃、みんなはわくわくやまへ。空は青く高く、心地よい風が吹き、とっても気持ちが良さそうです。みんなでお弁当を食べたり、きいちごを見つけたり。花輪をつくったり、冷たくておいしいわきみずを飲んでみたり。楽しい時間を過ごしているようです。
でも、その帰り道。
「さようなら」
そう言った後に、みんなが向かったところは?
遠足を楽しんでいる時だって、みんなはキツネくんのことを忘れてなんかいなかったのです。キツネくんにもこの楽しみをわけてあげたい、おんなじ気持です。それぞれが持って帰ってきたおすそわけ。そこには、ともだちを思いやる優しい心がつまっていましたよ。
くすのきしげのりさんの「すこやかな心をはぐくむ絵本」シリーズ、2作目。
いしいつとむさんのにじむようなタッチで描かれた絵は、子どもたちの素朴な表情や、自然の中で遊ぶさわやかな空気を、優しく読者に伝えてくれます。
本に挟みこまれているリーフレットには、作者のことばや読み聞かせのコツ、子どもたちの「こころ」についてのコラムなどが掲載されています。こちらも読みごたえありますよ!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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