絵本を開くと、画面いっぱいに色んな表情をしたユーモラスなかいじゅうたちがふたりずつ登場します。
思いっきり笑っていたり、怒っていたり、泣いていたり、取っ組み合いのケンカをしていたり。
なにをしているのかな?・・・そう、彼らは遊んでいるのです。
笑わせていたり、怒らせちゃったり。時には恥ずかしくてお互いモジモジしていたり、知らんぷりしたり。
なんか、こういう子どもたち、よく見るよね。
ふたりでいると、いつも微笑みあってるだけじゃない。
これが「ともだち」なのかな。
じゃあ、ともだちとケンカしちゃった時はどうすればいいのかな。
どうすれば、自分の気持ちを相手に伝えられるのかな。
オランダの絵本作家ミース・ファン・ハウトによる、子どもたちが気持ちを素直に伝えるための“こころ絵本”。
内容はとってもシンプル。気持ちの変化が一言でつづられていくだけ。
だけど、まっくろな背景に色鮮やかで生き生きと踊る様な線で表現されたかいじゅうたちを見ていると、その時々の状況がどんどん頭に浮かんできます。
「このふたりは出会ったばかりかな」「この子がいたずらばかりしているんだろうな」「キライなわけじゃないけど・・・」
そんな風に読み解いていきながら、子どもたちの「ともだちづくり」を応援してくれているのがこの絵本なのかもしれません。ともだちができた時の、子どものドキドキした気持ちにも寄りそってくれます。
それにしても、かいじゅうたちのチャーミングなこと!!大人の私だって、なんだか真似して描いてみたくなっちゃいます。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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