きのこむらのほだぎのさとに住む、ほしじいたけとほしばあたけ。
きのこ暦123年生まれのふたりは、きのこむらのきのこたちに慕われる長老きのこです。
ある日のこと、ほしじいたけが裏山にたきぎひろいをしていると、
むらのこどもたちのひとり、タマゴタケが
崖下に落っこちてしまったというのです。
「こりゃ たいへんじゃ!」
からからに乾いた体を使って、ふうわりと崖を飛び下りるほしじいさま。
無事にタマゴタケの元に到着です。
でも、ほしじいさまの軽さでは、タマゴタケと一緒に崖を上がることはできません。
「いたしかたあるまい。」そうつぶやいたほしじいさまが、
崖のわきに流れる湧水にそろりとつかると……。
実は意外と多い「きのこの絵本」の中でも、
世にも珍しい「ほししいたけ」が主人公の本作。
生のしいたけにはない、特性を十二分に発揮して、
ほのぼのしているのに、どこか脱力してしまう、
何とも不思議な“味のある”ほししいたけ絵本です。
作者の石川基子さんは、第36回講談社絵本新人賞を受賞した、
期待の新人作家さん。
講談社絵本新人賞のHPでは、受賞から絵本出版までの
制作秘話が連載されています。
https://ehon.kodansha.co.jp/award/journal/ishikawa/1.html
(木村春子 絵本ナビライター)
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