寒くて長い冬のあいだ、あたたかい土の中でぐっすりと眠り
そのときをいまかいまかと待っていたものがいる。
その名もにんじんのにんにん。
れっきとした人参の忍者である。
あたたかい春の光を感じて目覚めたにんにん。
さぁ、充電完了。準備はバッチリ!
土の中でたくわえたパワーでにんにん忍法を使う時がきた。
忍法「ぐんぐん どんどん のびるの術!」
土の中のにんにんが忍者ポーズで「にん!」と唱えると
にんにんの頭の上の小さな芽から茎が「ぐん」!
「にん にん にん」とにんにんが力めば
「ぐん ぐん ぐん」と茎がさらにのびて
するとあっという間に頭の上の茎から人参の白いお花が
ぼわんと大きくさいたではありませんか。
これは見事お見事!!!
満開のお花には、たくさんの虫の訪問者が
やってきてにんにんも大変ご満悦。
でも、花はしだいに枯れてきて・・・。
いよいよにんにん最後の大仕事にとりかかります。
絵本作家ふるやかおるさんが、太陽と土の中の水分と栄養だけでエネルギーを作り次世代を生み出す植物たちの仕組みに感動し、その命のめぐりを子どもたちに伝えたいという思いから生み出された愛情たっぷりの絵本です。人参ががんばって成長し、種を残していく様子を忍者の忍法になぞらえてわかりやすく植物のことを学ぶことができます。裏見返しに人参のたねとりの方法ものっていますよ。
圧巻のにんにん必殺「一粒万倍 分身の術」はぜひとも絵本でご覧くださいね。
にんにんが頑張って種をつくっているのかと思うと植物を大切に育てる楽しみも子どもたちに素直に教えてあげられそうです。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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