夜。窓の外には月。 ねむっている男の子の手のひらのそばで、 ちいさな汽車がはしりはじめました。
しゅっ しゅっ ぽっ ぽっ しゅっ しゅっ ぽっ ぽっ
『きみはしっている』『くじらだ!』など次々刊行される「五味太郎クラシックス」シリーズ。 本書は1982年に出版された作品の、復刊です。 五味太郎さんのベストセラー『きんぎょがにげた』に通じるタッチで、深くにじんだ色合いが印象的。 大きく描かれた男の子と、汽車のちいささが、おおらかに気持ちよく配置されています。
しゅっ しゅっ ぽっ ぽっ おへそのカーブを大きくまわって、 足のゆびの鉄橋をわたって。 パジャマのすそからトンネルにはいって ……くぐりぬけて。
男の子がねむっている間に、体の上を、おもちゃの汽車がはしっていく。 森をぬけて、トンネルをぬけて、汽笛をならす。 想像するだけでうれしくなります。 幼い子どもの心をつかむ絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
男の子が眠ると、ちいさなきしゃがはしりはじめた。しゅっしゅっぽっぽっ、男の子のおへそをぐるり。しゅっしゅっぽっぽっ、足の指の鉄橋をわたる。さて、今度はどこへ?
五味太郎の70、80年代の作品を、デザインを一新し新装丁版として刊行されるシリーズ「五味太郎クラシックス」。 長きに渡り読み継がれてきた不朽の名作を堪能できるシリーズです。
|