ふりたての雪みたいにまっしろなヤギのシラユキさんは、編み物が好き。
靴下だけでなく、動物のヤギだって編めちゃうんです。
でもヒツジのおばさんに「あんたのあみものはいいかげん。いったいなにをつくってるんだい」と批判されたシラユキさん。
ショックで頭がこんがらがって、何を編んでいるのかわからなくなりました。
ぷんぷんしながら、夢中で編みつづけるシラユキさん。
あれれ? なんだかこわい顔のものが、編み棒の先から出てきているみたいだけど……。
シラユキさん、大丈夫!?
まさか、いくら編み物が好きだからって、こんなとんでもないものまで編んじゃうなんて!
最初、知らずにオオカミを編んだときは真っ青になったシラユキさん。
心臓をドキドキさせながら、オオカミを退治するものを編み……。
さらにすごいものを編む羽目になります!?
ユーモアがある軽やかな口調と、きれいな色を交えた自在な線。
そしてドキッとする成り行きにひきこまれていきます。
編み棒から次々何かが生まれるのはちょっぴりこわいけど、一心に編むシラユキさんの不思議な力を「すごいなあ」と思ってしまいます。
オランダの絵本作家アンネマリー・ファン・ハーリンゲンは、本書で2015年オランダ銀の絵筆賞、ブラティスラヴァ世界絵本原画展金牌を受賞しました。
弱そうに見えて、すごいものを作ってしまうシラユキさん。
ヒツジのおばさんが言うとおり、ヤギの毛糸は強いんですね!
お茶目なシラユキさんにはかないません。
「みぎにひとめ、ひだりにひとめ、
ひとめあんだら、またひとめ。」
くりかえされる編み物のフレーズに、次は何ができるのかしらとイメージが刺激される絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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