『ないしょのおともだち』で大人気のバーバラ・マクリントックが描く、ふたりのバレリーナの絵本です。
1人は小さなエマ。もう1人は大きなジュリア。
ふたりはそれぞれ朝はやく起き、朝ごはんをたべ、着替えをすませて出かけます。ふたりともきょうはバレエのレッスンがあるのです。
エマは車で送ってもらってバレエ教室へ。ジュリアはバスで劇場楽屋口から入り、しっかり先生におそわって練習をします。
ふたりとも、バレエがだいすきです。
会ったことはなくても似ているところが多いふたり。ある晩、エマがバレエを観に劇場へいくと……?
ふたりのある一日を綴りながら、だいすきなバレエを「劇場で観る側」と「舞台で踊る側」から描いていたことが、読み進めるうちにわかってきます。
ジュリアは舞台の上でとびあがり、くるくるまわり、かたあしでバランスをとり、しなやかなうごきでステップやポーズをとります。ジュリアは心がはずむよう。客席にいるエマもまた、心がはずむようです。ふたりはバレエがだいすきなのです。
本書はジュディス・ジャミソン(1943年生まれのアメリカの舞踏家)という素晴らしいバレリーナの舞台を体験した作者バーバラ・マクリントックが、ジャミソンさんにオマージュを捧げた絵本ともいえます。
ばらばらに描かれていたエマとジュリア、ふたりが出会う最後の場面に、心をうごかされ、思わず涙がにじむのはなぜでしょうか。
だいすきなものにあこがれ、近づきたいとねがい、一生わすれない体験をした者には本書のすばらしさがより響くにちがいありません。
マクリントックファンの期待を裏切らない、エマとジュリアそれぞれの部屋のインテリアや、服、食事などこまやかな描写も楽しい一冊。子どもから大人まで、それぞれじっくり味わってほしい素敵な絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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