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座敷わらしが住むと伝えられる家は少なくない。この神がいる家は栄えるといわれ…。遠野物語「座敷童」の世界を、町田尚子が美しく妖しく描き上げた。100年をこえて語り継がれる怪談の原点。美しく悲しい物語。
【内容】
柳田国男原作「遠野物語」から、ザシキワラシに関する記述を現代の絵本に仕上げた作品。
古くからある豊かな家に伝わる、神とも妖怪ともいえない存在。12才くらいの男の子だったり、女の子だったりするという。この人たちがいなくなると家が滅びる。孫左衛門の家にいた2人の女の子の神が、出て行った後、家に不思議なことが起こり、一家は…
【感想】
原作を文庫本で読んだが、ゾッとする話だった。遠野物語にはいろんな興味深い話が収められているが、古典文学のような書き方なので、やや読みにくい。現代人が読みやすいように、かつ中身を変えないように「翻訳」した作品があったらいいなと思っていた。
この絵本は、言葉を少なくして、絵で物語るから、年齢問わず、誰でも遠野物語に親しめる。不思議な雰囲気満天の絵が、心に残る。夜中に夢に出てきそうだ。
昔話とも、創作童話とも、怪談とも違う、微妙な世界を実に上手に表現していると思う。
ザシキワラシというと、水木しげる大先生のユーモラスな絵を思い浮かべるが、いろんなザシキワラシがあるらしい。今回、絵本を読んで興味をもったので、簡単にネットで調べてみたら、福の神のようなありがたい存在から厄病神や悪霊に近い凶悪な存在までいろいろ出てきた。どんなタイプがその家に住み着くか?遠野の旧家の人たちは、戦々恐々としていたかもしれない。
今でも時折テレビなどでザシキワラシの出る家の特集などが放送される。現代社会にも対応して生き残って、自分をアピールしているたくましい妖怪だ。時代に合わなくなったり、忘れられたりして「失業」する妖怪も多い中、素晴らしい企業努力だと思う。この調子でどんどん頑張って、世界を目指して欲しい。 (渡”邉恵’里’さん 30代・その他の方 )
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