男の子が、馬にむかってこういいます。
「きょうは あたまのうえに のりたいな いい?」
馬は…
「あたまのうえ? ま やってみよう…」
そしてあたまの上にのった男の子は、さらにいいます。
「うん いいね! でも もうすこし たかく なれるかな?」
「もうすこしたかく? やってみよう…」「はしれるかな? やってみよう!」と、どんな要望にも答える馬。
五味太郎さんが描く馬も男の子も、一見、表情があまり変わらないので、淡々とお話はすすむ…かのように見えます。
でもさすがに、途中からは、馬さんの目も半開き…。
もしかして怒ってる? いや、疲れたんだよね。それは疲れますよ…と読んでいるこちらもちょっぴりハラハラ。いろいろいわれたとおりに「やってみる」馬さんに同情しちゃいます。
「やるきになればなんでもできる!」「やれるよ やれるよ! ぜったいにやれる!」
うーん、そういうけど…、それって本当かな!?
途中、「やれた やれた!! ほんとうに やれた!!」と爽快感あふれる場面が描かれるのですが、そこからひとひねり、いや、ふたひねりあるのがおもしろいところ。
馬のリクエストに「むりむり ぜんぜん むりむり!!」と拒否する男の子が、さあ、どうするのか、絵本を見てのお楽しみ。
ふたりのかけあいのテンポのよさと、漂うナンセンスなおかしさ。
たくさんの動物たちが冷めた目で、男の子と馬のやりとりを見つめています。
子どもから大人まで幅広いファンをもつ、五味太郎さんならではの突き抜けた世界観が、とぼけた表情で描かれています。
3歳くらいの幼児から、大人まで、いっしょの絵本を眺めて楽しめるってすごい!
さて、むり!!と思うことも、あなたなら、やってみる? どうする?
びっくりのオチをお楽しみに。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
続きを読む