絵本作家、ヨシタケシンスケさんが「つまんない」を絵本にしたら!?
誰もが経験する「なんかつまんないな…」という退屈な気分を、人気絵本作家が四方八方から解体! ユニークな発想を詰め込んだ絵本です。
ソファで男の子が「うーん…」と寝転がったり、足をばたばたさせたり、ソファからずり落ちたり…。
「う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ん」と、うなったあげく、お母さんに「ねえ。つまんないんだけど」と訴えます。
お母さんの返事は「…じぶんでなんとかしてちょうだい!」
もう最初のこの見開きページだけで、「ある、ある、ある」と3回くらい相づちを打ってしまいます(私だけ?)。
子どもの頃に「つまんない〜」と親に言ったことも、大人になってから子どもに「つまんないんだけど〜」と言われたことも数えきれないくらいありますが、そこであえて、「つまんないってなんだろう」とまでは考えなかったかも…。
ヨシタケシンスケさん、もとい、絵本の中の男の子は考えます。ぐるぐるまきにされるのも、ちょっとずつ座るところを変えてみるのも、おもしろそうだけど…やっぱりあんまりおもしろくない。
う〜ん、たしかに。
いったい何が「つまんない」で何が「おもしろい」なんでしょうね?
絵本を読みながら、ぐるぐる考える「つまんない」自分は、想像するうちにダンゴムシになったり自動販売機になったりして、いつのまにか「つまんない」じゃなくなっています。
これって、どういうことだろう?
「ん?」「あれ?」「そうか!」「いや、やっぱり…」
大人になったらつまらなくなくなるのか、それとももっとつまんなくなるのか。子どもの頃、ちょっぴり想像したようなことが、細かなイラストと手書き文字で掘り起こされ、ばっちり絵本に描かれています。
やっぱりヨシタケシンスケさんの本っておもしろい!
頭のあちこちを刺激され、思考する気持ちよさ、クセになりそう。
でも絵本まかせで「そう、そう」と喜んでうなずいていたら…、子どもには「大人って、やっぱりつまんない!」と思われそう……。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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