『じゅげむ』など落語絵本で人気の川端誠さん。
川端誠さんの絵本で同じく人気なのがこちら、「お化けシリーズ」。お化け屋敷で、たくさんのお化けたちが一緒に暮らしているようすがおもしろいシリーズです。
久しぶりに、お化け屋敷に、座敷わらしと袖ひき小僧が、はるばる遊びにくることになりました。
はりきるお化けたち、おもてなしの準備で大忙し。
日本全国、各地のお化けたちが食材を送ってくれて、ごちそう作りがはじまります。
作るのはごちそうだけではなくて、竹を割ってつなげて、あの長ーい装置も……。
夏のおもてなし、竹を割った長いもの、と言えばピンとくるでしょうか?
流しそうめん!と言いたくなるかもしれませんが、本を読んでのお楽しみ。
小麦粉をこねて、足で踏んで…。やっぱりそうめん? いやいや、ちょっとちがうんです。
それにしても、朝から粉をこねて、鰹節を削って、ゆうべから水につけておいた煮干しのなべでだしをとって……。
薬味はしょうがにみょうが、すだち、大根おろし、とろろ、青ねぎ。みんなお化け屋敷の畑でとれたもの。おいしくないわけがありません。
三つ目の大入道に、ひょろけに、一つ目小僧。ろくろっ首に、小豆とぎに、小豆あらい。みんな働き者!
働き者でないのはのっぺら坊だけ…? 用事もないのになぜちょこちょこ顔をだしているのか、最後のオチをお楽しみに。
日本のお化けによる、日本の風土が伝わってくるおもてなし。
楽しそうなお化けたちの一日に、じんわり、懐かしさとあたたかさを感じる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
続きを読む