丁稚のつねきちは、働き者の良い子です。
だけど困ったのは、言われたことを憶えるのがとっても苦手なこと。
今日も、旦那さんに、おとなりへの伝言を言いつけられました。
「わかりました。行ってきまぁぁぁぁぁぁす!」なんて調子よく出かけたはいいけれど、おとなりについたら、やっぱり用事が思い出せません。
つねきちは、おかしなことを言いだしました。
「わたしのおしりをつねってください。」
いつも、おしりをつねってもらうと忘れたことを思い出せる、というのです。
表紙に描かれた、画面いっぱいのおしりは、そういうわけだったのですね。
「おしりをつねってくれ」なんて言い出しただけでも笑ってしまうのに、ここからの展開ったらありません……!
つねきちのおしりに振り回される大人たちが可笑しいやら、気の毒やら。
はてさて、つねきちは用事を思い出せるのでしょうか?
軽快なテンポで、生き生きと楽しい落語の世界を描き出すのは、噺家・桂文我さん。
リズミカルな会話のやりとりは声に出して読むだけで、噺家気分になれちゃいます。
そして北村裕花さんの描くつねきちのおしりの、まあるくぷりんとしてかわいいこと!
親子で読んでも、大勢で読んでも、大笑い間違いなしのおはなしです。
落語好きな大人の方には、子ども版「粗忽の使者」と言えば、ニヤリとするかもしれません。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
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