◆ ものがたり ◆
舞台は第2次世界大戦前のロンドン。医師のすすめで健康回復のためにフィギュアスケートを始めることになったハリエットに、スケートの手ほどきをしてくれたのは、スター選手の忘れ形見ララ・ムーアでした。ララは、彼女を一流の選手にすべく全力を注ぐ叔母のもと、学校にも通わず3歳からスケート中心の毎日を過ごしていたのです。
ララに感化され、たった1年半で見違えるほど上達するハリエット。地元のアイスショーで華やかなデビューを飾りながらも、壁にぶつかり悩むララ。ハリエットの貸靴代を稼ぐために働く兄アレク、兄を助けて野菜作りを手伝う弟のトビーとエドワード。それぞれの夢に向かって歩き始める子どもたちを、周囲の大人たちが温かく見守り、応援します。
夢をかなえるための誓いの言葉は――ガズル、ガズル、ガズル、グワッ、グワッ、グワッ!
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自分の夢を見つけることの素晴らしさ、一生懸命打ち込むことの大切さを伝えるハートフル・ストーリー。人物描写の温かさに加え、フィギュアスケートという繊細で美しいスポーツの難しさ、楽しさもよく描かれています。名作『バレエ・シューズ』で人気を博したストレトフィールドの観察眼が光る珠玉の1冊!
原書タイトルは “Skating Shoes”(1951/英国版“White Boots”)。日本では、榎林哲訳『白いスケートぐつ』として1967年に講談社マスコット文庫の1冊として翻訳刊行されました。本書は翻訳のスペシャリスト中村妙子さんによる新訳です。1951年アメリカ版のリチャード・フロースの挿絵とともに、ちょぴりレトロなスケートの世界をお楽しみ下さい。
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