ヨシタケシンスケさんの発想転換絵本があらたに誕生!
いつもの物事をちょっと裏から、斜めから、そしておもしろく前向きに(!?)、考えることができちゃう絵本です。
「おとうさんは きょうは はれるって いってたけど、
…おとなのいうことは けっこう はずれるな」
と、窓の外の、雨をにらむ女の子。
そこへお兄ちゃんが学校から帰ってきて、こんなことを女の子に言いはじめます。
「…ねえねえ、しってる? みらいはたいへんなんだぜ」
「ぼくたちが おとなになるころは たいへんなことしか ないんだってさ」
つまり…、これから食べ物がなくなったり、病気が流行ったり、戦争が起こったり、地球が壊れたりする。そんな“未来”がやってくるのだと。
お兄ちゃんの話に、女の子はショックを受けて、おばあちゃんの部屋に行きます。
「おばあちゃん… みらいがたいへんなの…」
そこで、ヨシタケシンスケさんが描く「おばあちゃんの答え」とは!?
落ち込む女の子に、布団から半分起き上がったおばあちゃんが返す言葉は、明るさ満点!
“未来”はひとつしかないの?
こんな未来も、あんな未来も、“未来”は、たーくさんあるんじゃないの?
「そっか。ふたつとか みっつしか ないわけ ないもんね」と納得する女の子に、おばあちゃんは答えます。
「そうよ! それしか ないわけ ないじゃない!」
おもしろくなってきた女の子は、いろんな“未来”を考えます。毎日ウインナーの未来とか、ロボットが抱っこしてどこでも連れて行ってくれる未来とか…。
ここの「いろんな未来を想像する」場面は、ヨシタケさんの真骨頂!
笑っちゃう未来がいっぱい出てきますよ。
親子で読みながら、ぜひ“たくさんの未来”を想像してくださいね。
あれかこれか、どっちかしかない答えなんてない。「すきか きらいか」「よいか わるいか」だって、どっちでもない答えがあっていい。
なかなか奥が深い、そしてじんと心に響く、哲学的な視点が込められた絵本です。
大人は自分にちょっぴり問いかけながら、子どもは笑い飛ばして読んでほしい!
人生の中で何度でも手にとりたくなる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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