「がちょうのペチューニア」シリーズや、「かばのベロニカ」シリーズなどで知られるロジャー・デュボアザンが、ナチュラルなタッチで描いた可愛らしい絵本。
2匹のくま、スノーウィとウッディのおはなしで、1979年に出版された絵本の初邦訳です。
シロクマのスノーウィは、まっ白な氷の世界に住んでいました。
スノーウィは氷と同じくらい白いので、誰からも見つかりにくく、ここにいれば安心なのです。
ところがカモメの話を聞いて、緑の森に行ってみたくなります。
たくさん泳いで、きれいな森にたどりついたスノーウィ。
いい気分で草にねころがりますが、だんだん自分が目立つような気がして心配になってきます。
どうふるまったらいいかわからない表情で、二本足で立つシロクマ……。
当然、森で目立ちまくりです。
そこで出会ったのが、茶色いヒグマのウッディ(カモメの言ったとおり!)。
2匹は、最初はとっくみあい、ころころと転がりますが……。
とにかく、白と茶のくまが、ぴったり重なって助け合う場面のユーモラスさといったら!
石津ちひろさんのチャーミングな訳も絶妙です。
「ペチューニア」や「ベロニカ」の線画とは異なる、輪郭がない、明るく素朴な色合いが目になじみます。
数々の動物絵本を生み出したデュボアザンの最晩年の作品。
それぞれに居場所を持つ2匹のくまが、自分の特徴を生かして助け合い、また別れていく姿がのんびりしていてあたたかい。
読後感がじんわりと心に沁みる絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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