「しばらく出かけてきます。わたしのるす中は、くれぐれもケガや病気をしないように。‥‥‥」
アグラ山に住む名医、キダマッチ先生。今回はこんな張り紙を残して町に出かけたようです。
目的は、ずいぶん前に遊びに行ったきり戻ってこないおくさんのところへ行ったようなのですが、こちらのシリーズの3巻までを読んできた読者なら、えっ、ついに!?とこの4巻は見逃せない話題に、ドキドキしてしまいますね。
いったいどんなおくさんなのか、キダマッチ先生とおくさんはどんなやりとりを繰り広げるのか、じっくりのぞいてみましょうか。
おくさんが住んでいるのは、大都会の中にあるアパート。長いことバスに揺られてようやくたどり着いたキダマッチ先生。しかし会うやいなや、おくさんがキダマッチ先生にかけた言葉といえば、「あ、あなた、お金は持ってきてくれました?」
疲れてぺたーっとすわりこんでいるキダマッチ先生に対して、いったいなんということでしょう。この先のやりとりが思いやられる……と思った矢先、おくさんは、キダマッチ先生がせっかく病院をしめてきたのに、町では診察代もたくさんいただけると言って、次々に具合の悪いお友達を連れてきてしまいます。
やってきたのは、
体がだるくてなにもする気になれないという、お高くとまったネコのおばさん。鼻がこわれたらしくにおいを感じなくなってしまったというイヌのおじいさん。おしゃべりが全部歌になってしまうというオウムのおじょうさん。みんな調子が悪いながらも町に住んでいるだけあって、こぎれいでおしゃれです。訴える症状は難題ばかりですが、今回もキダマッチ先生ならではの治療法が飛び出していきますよ。
児童文学作家の今井恭子さんによる初めての絵本シリーズ「キダマッチ先生!」の第4弾。
患者たちが訴える病状がユニークなら、キダマッチ先生の治療法にも毎回驚かされ、次はだれが来るの? どんな病気なの? と、読み進めるのが楽しくて仕方ありません。岡本順さんの描く生き物たちのユーモラスな姿や美しい自然や事物の描写も本シリーズを楽しむ大きな魅力で、すでに多くの方をとりこにしているようです。キダマッチ先生が大変な思いをすればするほど、窮地に追い込まれれば追い込まれるほど、キダマッチ先生が気になって気になって心を掴まれてしまっているのも私だけではないはず。
さて、ちょっと手に負えなさそうなおくさんとキダマッチ先生のその後はいかに!? 気になった方はぜひ手に取ってお確かめくださいね。今後もますます目が離せなくなりそうです。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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