指でつつくとコロコロ丸まる、おもしろ仕掛けのかわいいあいつ。
みんな大好きダンゴムシ!
ある日、おねえちゃんが「ダンゴムシの国」を見つけたと、ぼくにこっそり教えてくれた。 そこで捕まえたダンゴムシたち、5匹合わせて「まるまるんジャー」! ぼくとおねえちゃんは、ダンゴムシたちのことをたくさん調べて、大切にお世話していたんだけど……。
子どもを夢中にさせる、なんともユニークな動きでおなじみの、ダンゴムシ。主人公のふたりは、ダンゴムシを飼うのに必要な道具や環境を自分たちで調べて、5匹のダンゴムシを家に連れて帰ります。
こんなに身近な存在なのに、知らないことがたくさんあってびっくり!
ムシってつくけど昆虫じゃない!実は美味しいあいつの仲間!?
枯れ葉を食べるダンゴムシ、だけどニボシやチーズもいける!?
図書館でダンゴムシのことを学んだり、じっさいに世話をしていくなかで、ふたりはダンゴムシの意外な秘密や姿を知っていきます。
ふたりで大事にしていた「まるまるんジャー」5匹。中でも特にお気に入りなのは、体がいちばん大きな「ダンゴムシ1号」! 弟のひかるは、ダンゴムシ1号をクラスのみんなに自慢しようと、ビンに入れてこっそり学校に連れて行くのですが……。
「生きているものには、必ず死が訪れます」
「こうしたリアルな経験は、きっと、ひかるとお姉ちゃんのように、いのちあるものを、そして今生きていることを大切にしようとする心を育むにちがいありません」
「ダンゴムシの国」を見つけたときのワクワク。好きなものへ真剣に向き合い、みずから学ぶことのたのしさ。経験の中で、あたらしいことを知っていく興奮。そして、胸が張り裂けるような別れの悲しみ。主人公ふたりのそうした気持ちのコントラストが、本作に著者が込めたメッセージを際立たせます。
ふたりといっしょに、笑ったり、泣いたり……いろんな気持ちが豊かに詰まった、あざやかな物語です。
(堀井拓馬 小説家)
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