「しゃりんくしゃりんく ちりんちりん」 毎日自転車に乗ってぼくのうちに遊びにくるのはお隣のせいちゃん。ぼくとせいちゃんはいつもいっしょで、これからもずっーといっしょ。だけど、せいちゃんは夏になったら引っ越しをするという。それってどういうことだろう。引っ越しのことなんか忘れかけていた頃、その日は本当にやってきた。ぼくはせいちゃんにもらった自転車に乗って、必死に追いかけたけど……。
絵本『せいちゃん』の中で、友だちとの突然の別れの知らせにとまどうぼく。自転車に乗りながら涙を流すぼくの顔を見ていると胸がつまります。でもその後、せいちゃんから手紙が届くのです「はるに なったら いきます」。この約束が、再会が、悲しいだけだったぼくの時間を変えてくれます。一人で遊ぶのは寂しいけれど、時には忘れちゃうことだってあるけれど、いつかまたせいちゃんに会いに行こう。
お別れの先にあるものを知った時、子どもの心はまた前を向いて歩いていけるのかもしれません。大人になった私は、忘れていたような気がします。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
ぼくの大切な友達のせいちゃんが引っ越した。しばらくして届いたせいちゃんからの手紙には「はるになったらいきます」。やがて春になって…。心があたたかくなる春のお話。
きいこきいこ しゃーくしゃーく
しゃりんくしゃりんく ちりんちりん
ぼくとせいちゃんはずっといっしょでこれからもずっといっしょ。
自転車でやってきて、毎日遊んでいたのに、ある日、ひっこしのお知らせの手紙を持ってきたのです。
当たり前の、変わらない毎日のはずが、ある日やってきたお別れの日が全て変わってしまったことに、動揺し、悲しむ気持ちが、痛いほど伝わってきました。
また、自転車をこぐ音の表現も、心に響きます。
ひっこしのお手紙をもらってからの気持ちの変化、そして、ひっこしの日。そして、そのあとに起こった出来事と、その時々での気持ちの変化に注目してみてはどうでしょうか。
転勤族の我が家にとって、子どもたちが何度も繰り返し味わった気持ちを改めて思い起こすきっかけになりました。 (おしんさん 40代・ママ 男の子23歳、女の子21歳、男の子18歳)
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