個性豊かなフルーツの小学生たちが、いろんなことを悩んだり考えたり話しあったりして、一生けんめい自分のきもちに向き合っていく、「フルーツふれんず」シリーズ。かわいらしいフルーツの姿ながら、リアルな悩みにまっすぐぶつかっていく子どもたちに、読んでいる私たちの胸もきゅっとつかまれます。
今回の主人公は、桃の姿のモモちゃん。モモちゃんは、休み時間にノートを書いていましたが、キウイちゃんに見られてしまいます。モモちゃんは、そのノートに「しゅくだい」「おにごっこ」などのシチュエーションごとで、友だちの順番をつけていたのです。
「なにこれ? モモちゃん、ひどいよ!」
友だちに順番をつけるなんて、ありえない! とキウイちゃんは怒ります。モモちゃんはそこまで悪いことをしたとは思えないのですが、どう話したらうまく伝えられるのか分からず、くやしくて涙が出てきます。
でも、ブドウくんやスターくんは、
「そんなに おこるほど、へんなことじゃないよ」
と言い、クラスの意見はまっぷたつ。ほしがき先生に聞いてみても、「どっちの かんがえも、あるんでねえべかな」と言われてクラスのみんなはもやもやしたまま。
さらに、水泳の授業の速さ競争で、キウイちゃんは一番をねらいますが、
「さっき、キウイちゃん、ともだちに じゅんばん つけるの、いけないとか、いってなかったっけ。だったら、こういうのも よくないんじゃ ないのかな」
とブドウくんが言い出し、キウイちゃんまで泣き出してしまいます。
モモちゃんは、考えます。
友だちの順番を気にする子と気にしない子がいるということ。
キウイちゃんは気にする子のほうだったということ。
心の中も体の中も、ほかの人に見せちゃいけない場所があること。
見せてしまうと、誰かを傷つけたり、自分がいやなきもちになったりすること。
もやもやしたきもちに向かい合い、キウイちゃんへもまっすぐ向き合おうとするのです。
本作は、「フルーツふれんず」シリーズの5作目。今の子どもたちのリアルなできごと・お悩みに、フルーツの小学生たちが真剣に向き合っていく、かわいくて読みごたえたっぷりなおはなしです。
(徳永真紀 絵本編集者)
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