これは人間に最も近い存在として作られた「コリット」の物語である。舞台は3000年未来――人類は人に仕えるコリットを育てるため、金星にドームを作った。その中心にあるファクトリーで誕生した14歳の少年イパは、大好きな家族と暮しながら友だちと楽しく学校に通う。しかし、そこで教えられるのは人への服従だった。いつしかイパは、人間と同じ姿と心を持ちながらも、偽物でしかない自分の
存在に疑問を持ち始める。「いったい僕はなんのために生まれたんだ」コリットはそこに疑問を持たない……イパは一切の立ち入りを禁止するファクトリーへと挑み、そこで自分の脳に隠された「とんでもない」秘密を知る。「環境は選べないことも多い。大切なのは、その環境の中でどれだけ立派でいられるかだ」圧倒的な想像力で紡ぎ出された、人間とコリットが織りなす感動ファンタジーが、ここに始まる。(本冊は第一巻の下)
続きを読む