
雨上がりの雑木林。きのうまではなかったのに、ひょっこり顔を出しているきのこ。どこからやってきたんだろう? きのこのふしぎな世界に出会う、うつくしい写真絵本です。

山、林、農場、人の住む場所などに生えているきのこ。いろいろな形のきのこと、その生態を写真で紹介した絵本。
子どものころからきのこが好きで、きのこの写真図鑑をよく見ていた。実家は農家だったので、しいたけの原木栽培(家庭用)や、親類の家の近くにある山林に生える名前のわからないきのこ、田舎の保育所などにある朽ちた木製のベンチや小屋などに生えるきのこ…
それらのほかにもお店で食用として売られるきのこもあり、人生にきのこがない日々はない。今もベランダで安かったエリンギを干している。きのこの乾物は常備。食べるのももちろん好きだ。
都会暮らしなので、今は山に入ってきのこを見る機会はないが、道端でたまにきのこが生えているのを見かけると愛おしい気持ちになる。拾ってきて食べたことはないが、食べたらどうなるのか?幻覚が見えるのか?中毒で死ぬのか?美味しいのか…などととりとめもなく想像できるのが楽しい。
この絵本ではレースのようなきのこ、おわんのようなきのこ、歌でも歌ってくれそうなきのこ、宇宙からやってきたようなきのこなど、見るだけで面白いきのこがたくさん登場する。
きのこの、菌糸時代の生活や、はかなくて不思議な生涯が、詩のような文章と共に紹介されて、興味深い。
夜、寝る前に眺めてみたら、不思議で面白い夢がみられそうだ。
大人のリラックスタイムにもお勧めできる素敵な絵本だ。 (渡”邉恵’里’さん 40代・その他の方 )
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