わたしは「あかい」くつしたが好き。
「あかい」うわぎがいちばん好き。
ながぐつだって「あか」、てぶくろだって「あか」。
パジャマだって、コップだって、ピンどめだって。
もちろん絵の具も「あか」がいちばん。
「おかあさんったら あかのこと、なんにも わかってないんだよ」
女の子は言います。
確かにおかあさんは「こっちの方が似合うでしょ」「穴があいてるからやめなさい」「それじゃ寒いでしょ」「何色だって一緒でしょ」って。おかあさんですからね、そりゃ言います。
でもね、女の子はわかっているんです。「あか」には特別な力があるってこと。「あかいくつした」なら、いつもより高くジャンプできるし、「あかいてぶくろ」なら上手に雪玉がつくれる。「あかいパジャマ」を着ていれば、寝ている間におばけを追い払ってくれるし、「あかいピンどめ」をすると、髪の毛が笑い出す。
彼女は「あか」が大好きなのです。わかる、わかるよ。
大人の私も思います。「あかって、とっても素敵な色だよね。」
子どもの「好き」を、こんなに明確に愛らしく描いた絵本があるでしょうか。
そして、それは何かを「好き」な人たちの心を確実に捉えて離さないのです。
カナダ生まれの世界的ロングセラー絵本、待望の復刊です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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