お正月になれば、床の間に鎮座まします「かがみもち」。
二段になった、真っ白で大きなおもち。頭にはみかんとおめでたい扇子。
堂々として立派なものです。
でも、なんだか浮かない顔をしているみたい。
「かがみもち」にも悩みがあるのでしょうか。
いや、そもそもおもちに「きもち」なんてあるの?
…それが、あるみたいですよ!?
興味深いですよね。聞いてみることにしましょうか。
「もう たいへんなんです。」
何かといえば。
おもちつきでは頭をペッタンペッタンたたかれ、のしぼうでのばされ、プッチンとちぎられ。あんこやきなこや挙句にねばねば納豆に混ざられて。確かに散々です。「かがみもち」と呼ばれるようになった私は、今のところ大事にされておるようです。でも…
「いつ なんどき たべられる ことやら。ああ おそろしや。」
なるほど、ちょうどそんな気持ちが表情に表れていた訳ですね、納得です。
でも、ここで話は終わりませんよ。なんと「かがみもち」、床の間から逃げ出すことにするのです! 一体どこに? どうやって? なんのために…? もうここからは、想像の範囲を超えていく話です。驚きの展開が待っていますよ、お楽しみに。
年末年始の時期になると、おはなし会でも引っ張りだこになるこの絵本。子どもたちは大爆笑、スカッとした気持ちで新年を迎えられそうです。でも、食卓に出てくるおもちや飾られている「かがみもち」を見る目はガラっと変わってしまうかもしれませんね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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