さっちゃんはちいさい服をみつけました。「だれのかしら」
カタカタカタ、「これあかちゃんのよ」
おかあさんがちいさなうぶぎをぬっています。
「あかちゃんがもうじきうまれるのよ」
さっちゃんはもうすぐおねえちゃんになるのです。
おかあさんがあかちゃんを抱いて病院から帰ってきました。
あかちゃんの名前はなっちゃん。
さっちゃんは、なっちゃんをだっこしようとしたり、なっちゃんとおもちゃで遊ぼうとして、おかあさんに「やめて」と言われます。
あかちゃんがきてから、さっちゃんはおかあさんに「いけません」と言われてばかり。
悲しくて怒ったさっちゃんは、泣きながら、なっちゃんのおむつをめちゃくちゃに放り投げます。
おかあさんは何も言わずにおむつをたたみ、そしてさっちゃんを抱きしめます・・・。
ちいさなあかちゃんが新しい家族になったとき、どんな子ども(上のきょうだい)の心にも起こるせつない葛藤。
そうそう、こんな感じ!と思わずつぶやきたくなる子どもの日常が「こぐまちゃんシリーズ」作者、わかやまけんさんののびやかなタッチで描かれています。
実は、わが家でもまさに数年前にあった出来事(まさに!)。
だんだん「おねえちゃん」にも慣れてきた様子ですが、数年前の長女の気持ちをもう一度振り返りつつ、この本をひざにだっこして読んであげるのもいいかもしれないなと思いました。
だって、おねえちゃんはこれからずっとおねえちゃんですものね。
(本当に、おねえちゃんになるって大変です!)
懐かしいようなつぶらな瞳の「たっちゃん・さっちゃんの絵本」は、1976年に刊行されたシリーズの復刊なのです。
「しろくまちゃん」のお人形がときどき登場するのもこぐま社の本ならではのお楽しみ。
「こぐまちゃんシリーズ」とは違ったやさしい色あいと線画を楽しんでくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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