もうすぐいちねんせいになるのに。
「チュッ チュッ チュッ チュッ・・・」
わたしはゆびしゃぶりがやめられない。
「もう、ゆびしゃぶり やめる!」
おとうさんとおかあさんに、おねえちゃん。
みんなの前で言ったのに。
眠くなると、かってにゆびは口のなか。
だから、わたしの左手のおやゆびにはたこがある。
「はずかしいなあ。この たこ きえへんかなあ。」
たこをぐりぐりおしていると、
「イタッ!」
ゆびから、声がした!!
見ると、たこに・・・顔がある!?
しゃべるゆびたこ、こんなのあったら驚いちゃう。
実際にゆびしゃぶりがやめられない子がいたら、こわがっちゃう?
いえいえ、このゆびたこ、見てると笑っちゃうのです。
だってなんだかヘンな顔。関西弁ですってくれーと叫ぶのです。
こんなのがどんどん大きくなったら、大変なことになる・・・心配はふくらむばかり。
だけどさすがに、おしゃぶりする気はおさまってきて。
ゆびしゃぶり。
やめたいと思っているのに、やめられない。
そんな風に悩んでいる子。
無事に卒業できた子。
みんなに作者のくせさんは語りかけます。
「しんぱいしなくても、だいじょうぶ。ゆびたこが『おいしくない』と、おもうときが、きっと、きますから。」
子どもたちの誰もが共感できるエピソードを、ユーモラスにあたたかく描いたこの1冊。
声に出して読んだ方が、その可笑しさが増しますよ。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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