さっき私の口から発した言葉は、どんな形だったんだろう。
昨日、私が子どもにかけた言葉はどんな色になっていたんだろう・・・。
おーなり由子さんがほんわりと丁寧に描き出したのは、ことばについての絵本。
もしも、話すことばが目に見えたとしたら。
「うつくしいことばは 花のかたち?」「ありふれているけど 嬉しいシロツメクサのようなことば?」
声によって色がかわるとしたら。
「しずかな声なら 青い花」「やさしい声は さくらいろ」
ああ、そんな風にことばを優しく捉えたことあったかな。
小さな花を手のひらで包み込むように、相手のことばを受け止めたことあったかな。
色鮮やかな、美しく可愛らしいことばのかたちが、あっという間に読む人の心を捉えます。
もしも、話すことばが目に見えたとしたら。
「思いもよらないことばが 相手に刺さるのを見ることになるかもしれない」
そうしたら、ことばの使い方は変わるだろうか。
「みじかい正直なことばが こころの湖のふかい場所に すうっとさしこむ」
そのとうめいな青い光を見たとしたら、きっと生涯忘れることはないだろう。
おーなりさんが詩と絵で見せてくれるのは、ことばのむこうにある気持ち。
たいせつな人と交わす心のかたち。
私たちは、こんなにも豊かなやりとりをしているんだと気づかせてくれます。
子どもから大人まで、一度立ち止まって、ゆっくりと体で感じてほしい作品です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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