男の子が一人、ガランとした部屋に座っています。
天井には蛍光灯。床にはけん玉がおいてあって、時計は3時を指しています。そして、壁には窓がひとつ・・・。
その窓から・・・
「こんばんは おばけにて そうろう」
お、お、おばけー!
あとから あとから あとから あとから、入ってくるんです。
「おばけにて そうろう」って!!
最初にやってきたのは、にゅーっとのびる水道管に巨大な蛇口。蛇口についた目が、男の子を見ています。
「こんばんは わしは じゃぐちの おばけにて そうろう」
蛇口からは当然と言わんばかりに水がじゃんじゃん出ています。男の子はにっこり傘を出して水を避けるだけ。怖いなんて思っていない、むしろ楽しんでる様子。
だけど、そんなことおばけはお構いなし。
やつらは次から次へとやってきます。
「くさむらの おばけにて そうろう」「はみがきの チューブの おばけにて そうろう」
ご丁寧に挨拶しながら、どんどんどんどん入ってきます。
ページをめくるたびに、新しいおばけが登場します。
ちょっと怖いかも、というおばけから、え、おばけ?(自分で言うんだからおばけなのか・・)なんて思っちゃうようなおばけまで。
想像を絶するおばけ、おばけ、おばけ。
しまいには、「おばけ」って、「怖い」って、いったい何だったっけ、とよく分からなくなってきて。でも何だか楽しい。
この、お腹がむずむずするような奇妙で愉快な感覚、ぜひたくさんの子どもたちに体感してほしいです!
「こわいー!」「こわくないー!」「変なのー!」なんて声が聞こえてきそうですね。
それにしたって、くさむらのおばけに、はみがきチューブのおばけ、どんなおばけか会ってみたいでしょう?
本を開けば会えますよ。
「おばけにて そうろう」
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
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