「もしきみがたいくつをしているのなら、いいことをおしえてあげましょうか。」
そんな風に呼びかけられたら、好奇心いっぱいの子どもたち、いや大人だって、
気になって仕方なくなってしまいますよね。
さらに表紙を見ると、紙ひこうきに乗った男の子と黒猫が、白い柱に囲まれた
現実ではないどこかに迷いこんだようで、不思議な雰囲気がぷんぷんしてきます。
さあ!どんどん胸がワクワクしてきたら、早速本のとびらを開いてみましょう。
登場したのは、雨降りの中、どこかに出かけるのも面倒で、遊ぶ友達もいなくて
窓の外をぼんやりと眺めている男の子。
どこからか声がしてきます。男の人の声でしょうか?それとも女の人の声?
男の子はその声にしたがって、まず、紙とえんぴつを用意します。
次に、声が唱えたとおりにおまじないのことばを書き(どんなことばかは、読んでのお楽しみ)、
その紙で紙ひこうきを折ります。そして、窓から外にえいっと投げ…。
さて、その後にはいったいどんなことが起こったと思いますか?
奇妙だけれどユーモアあふれる舟崎克彦さんのお話に、色彩豊かで異国情緒
あふれる出久根育さんの絵が合わさって、何とも不思議で魅力的な世界が
ここに登場しました。子ども達にとっては、ぞくぞくするようなちょっとこわい場面も
あるかもしれないけれど、逆に何度ものぞきたくなってしまうに違いありません。
さらに、ことば遊びや九九が出てきたり、お話全体がちょっとしたゲームのように
なっているのも子ども達の心をぐっとつかみそう。読んだ後には、物語と同じことを
やってみたくなる子ども達がたくさんいるかも!?
大人も子どもも、物語の世界でこんなにも想像力豊かに遊べるということを教えられたようで、
あらためて物語っていいなあ、と思ってしまいました。
(秋山朋恵 絵本ナビ編集部)
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