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ルリユールおじさん」 パパの声

ルリユールおじさん 作:いせひでこ
出版社:講談社 講談社の特集ページがあります!
税込価格:\1,760
発行日:2011年04月
ISBN:9784061324657
評価スコア 4.85
評価ランキング 87
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  • いい手をもて

     この春、60歳の定年を迎えます。
     かつて「男の顔は履歴書」と言ったのは大宅壮一さんだったでしょうか、時に鏡の中の自分の顔をつれづれにのぞきこみながら、果たして私の顔はどんな履歴書にできあがっているのかと思ったりします。
     なんとものほほんとした顔からはどんな履歴も浮かんでこないのですが、それでもなんとかこの顔で定年の時を迎えるのだなと嘆息したりしています。

     絵本作家いせひでこさんの代表作ともいえるこの作品の中に手の表情だけを描いたページがあります。
     主人公の女の子ソフィーがこわれた植物図鑑を直すために一人のおじさんを訪ねます。
     おじさんは本の製本職人です。「ルリユール」というのはその職業の名称です。
     小さなソフィーはそんな難しい名前は知りません。自分の大好きな本が元通りになるのだったら、それでいいのです。
     おじさんはソフィーの願いに聞いてくれます。
     本を修復しながら、ソフィーとおじさんの会話がぽつんぽつんとはさまります。
     ソフィーが見つけた一枚の男の絵、それはおじさんのお父さんの絵でした。
     その夜、おじさんは一人になって、自分と同じようにルリユールであった父のことを思い出します。
     ソフィーとの会話がおじさんに父のことを思い出させてくれたのです。
     その場面に、手のページがあります。

     「あの木のようにおおきくなれ」と父がといつも言っていたことを思い出します。
     そして、「父の手も木のこぶのようだった」と。
     このページに描かれている手は働いてきた男の手です。
     ルリエールという仕事に誇りを持ち、細心の注意をはらいながら優しく丁寧に本を製本していく手。
     父がかつてこういったことをおじさんは思い出しました。
     「名をのこさなくていい。いい手をもて」。

     「いい手」とは命を生み、育み、また新しい命につなげていく、大きな木のようなものかもしれません。
     いせひでこさんはこのたった1ページの手のページにどれだけの熱情を注いだことでしょう。
     手のページを開きながら、じっと私の手を見て、ルリユールおじさんのようにつぶやいてみます。
     「わたしも魔法の手をもてただろうか。」

    投稿日:2015/02/09

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  • 職人の製本

    自分の大切な植物図鑑が壊れてしまった。
    それを直すためにルリユールを探すソフィー。
    パリの街並みとゆったりした時間が水彩画に描かれます。
    いろいろな人に尋ね、町を歩き回るソフィー。
    ルリユールおじさんの姿も見え隠れしています。
    そしてやっと巡り合えたルリユールおじさん。
    昔からの修理製本の職人さん。
    製本技術が事細かく描かれていて、本の大切さを感じます。
    手で覚えている作業で図鑑はもう壊れませんでした。
    少女の心の中に、ルリユールおじさんも大切な思い出として残るのでしょう。
    たんたんとした絵本の中に、おじさんと少女の会話がアクセントとなって余韻の残る絵本でした。

    投稿日:2009/08/25

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  • 一冊の本との出会いが人生を決める

    • はしのさん
    • 40代
    • パパ
    • 神奈川県
    • 男の子11歳、女の子9歳

    ソフィーの大切な植物図鑑がバラバラになってしまう。どこでなおしてくれるか、人々に尋ねながら町中をソフィーは探しまわります。たどり着いたのは、ルリユール=製本の仕事をしているおじさんのところでした。
    本を修理する過程も丁寧な絵で説明されていて、本がなおっていく様子を主人公のソフィーと一緒にワクワクとした気持ちで楽しむことができます。
    ソフィーは大人になって植物学者になりました。植物図鑑との出会い、ルリユールおじさんとの出会いがなければ、もしかしたら他の職業についていたかもしれません。本との出合い、人との出会いの大切さが描かれている一冊です。小学校高学年の子どもに読んでもらいたい。

    投稿日:2006/11/11

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