虫大好きの娘が選んで借りて来たものの、主人公は小学校4年の男の子、しかもその心の微妙な動きがテーマとあって、多分、核心部分は理解できなかったと思います。
小さな対抗心から、勇一のピンバッチを盗んで捨ててしまったわたる。勇一に気づかれた様子はないものの、わたるは自分の心の中に、小さい石の重みを感じるのです。そして、何か勇一の役に立ちたくて、自分だけが知っている草原に、トノサマバッタを捕りに行こうと誘います。
2人の目の前で乱舞するトノサマバッタ。しかし動きの素早いトノサマバッタを2人はあれこれ協力しても捕まえることができません。ふっと休むと、ピンバッチの記憶がよみがえりますが、わたるはどうしても勇一に言い出せず、ただ、心の中で「いつかきっというよ」とつぶやくだけなのです。
男の子の意地、すなおになれない心理がとってもよく描いてあります。でも、6歳の娘には分からないでしょう。彼女が興味を持ったのは、トノサマバッタの詳細な描写でした。この秋、「トノサマバッタ捕り大会」なる行事に参加し、まだほとんどいない時期に、子どものトノサマバッタを捕まえた娘。でも成虫にはとてもとても歯が立ちません。
バッタに翻弄される2人の様子を描いた部分では、パパといっしょに「そうなんだよね〜」と納得の様子。さらに最後のほうでやっと出てくる「おばけバッタ」の描写と絵は大喜びでした。1ページの半分はあろうかという顔は、まさに仮面ライダー。ド迫力の絵に、しばし「どこがバッタなの?」と戸惑ったあと、「うわー」と大受けでした。
まだ主人公の心理は分からなくてもいいかなと納得した母でした。