「ウィリーとともだち」 みんなの声

ひとりぼっちのウィリーに、自分を必要としてくれるともだちができるお話です。
お互いに得意分野と苦手分野があって、それをうまく利用すると「助け合う」ことが出来るということを教えてくれます。
君にもある日突然、そんな出会いがあるよ！　と思わせてくれて、とっても前向きな気持ちになれました。

病院の待合室にありました。ウィリーは一人ぼっちのチンパンジー？それともゴリラ？なのかわかりませんが、小さいので、友だちもいなくて寂しい思いをした男の子です。ヒュー・ジェイブは体も大きくてたくましくて頼りになりそうなお兄さんという感じなのに、くもが怖いんですね。

完全な人間（この場合はゴリラ）はいないから、自分にできること（ウィリーはくもが怖くないので、くもを他の場所へうつしてあげます）をすればいいんだなあということが伝わってきます。等身大の自分を見せ合ってそれで友だちになりたいと思える関係が一番良いのでしょうね。友だち同士自分にないものを補い合っていけばいいのではないでしょうか。絵はインパクトがありますが、ストーリー的には優しさが伝わってくるので好きです。

ひとりぼっちのウィリーがふとしたことをきっかけに、
ヒューと友達になる、という友情のお話。
新年度、新しい出会いでとまどっている子ども達を
勇気付けてくれるのではないでしょうか。
友情に無理は要りません。
自分サイズのできることが、相手にとってありがたいこともあるのです。
アンソニー・ブラウンの他の作品同様、
ウィリーもヒューも実はゴリラ（？）が服をまとっての擬人化。
動物園に行くと、人間が檻にいる！？
ちょっとインパクトは強いですが、
その分表情が生きているような気がします。
大柄なヒューの苦手なクモをそっと道の外にうつしてあげた
ウィリー。
このくだりがとても嬉しかったです。
そう、クモはこのように処置しましょうね。
（子どもの頃『シャーロットのおくりもの』を読んだ私は
クモを殺すことができません。毒グモでない限り、クモは益虫ですよ。）

ひとりぼっちのウィリーに素敵な仲間ができるまでのお話です。
ウィリーは無理に自分を変えるわけではなく、相手に合わせるわけでもなく、“自分にできること”をやって、ヒューと仲良くなるのです。
自分らしくあった上で、素敵な仲間を見つけられるのは一番素晴らしいこと。
ウィリーは決して活発になるわけでも、お喋りになるわけでもないのに、ヒューの役に立つことで、どんどん自信に満ち、ゆったりとした表情になっていきます。
読者も一緒に、ほっくりと温かな気持ちになる本です。