いせひでこさんの幼年期の思い出を<少年の目を通して>描き集めた画集です。作者はたった一人で旅に出かけ、旅先で思い立ったように絵を描かれることが多いようですね。麦畑で、木の生い茂る森で、窓から流れる景色を電車内で。多くの視点からの水彩風景画のスケッチが載せられています。夜、青空、思いをめぐらすとき。「濃い青色」の描写が素敵です。
添えられている一言が胸を打ちます。特に印象的だったのは、大群の枯れたひまわりを目の前にして「こわいゆめをみてるみたいだ」 ひまわりとも亡霊ともつかぬ何かがこちらに迫ってくる感じが上手に描かれています。でも夕方行ってみると、、、そこには素晴らしい世界が広がっていました。
怖いと思っていても見る角度によって全く違うものになる。そう私は受け取りました。
いせさんの作品は初めてでした。他の作品に数点触れてからまた見開くと違った印象を持つと思います。