話題
移動するものたち

移動するものたち(小学館集英社プロダクション)

谷川俊太郎さん推薦! 黒い夜の森を捨て、旅に出る動物たち……移民の旅の現実を描くサイレント絵本

  • 泣ける
  • 学べる

からすたろう」 みんなの声

からすたろう 文・絵:八島 太郎
出版社:偕成社 偕成社の特集ページがあります!
税込価格:\1,980
発行日:1979年05月
ISBN:9784039600400
評価スコア 4.79
評価ランキング 452
みんなの声 総数 51
  • この絵本のレビューを書く

並び替え

51件見つかりました

最初のページ 前の10件 1 2 3 4 5 ... 次の10件 最後のページ
  • 90年も前の日本の小学校が舞台ですが

      初めこの作品を目にした時には、表紙の作者“やしまたろう”にピンと来ませんでした。
     二度目、もしや八島太郎では?と折り返しカバーの作者の略歴を読み、開いた作品です。
     『蟹工船』が近年再びブームになっていますが、あの拷問死した小林多喜二の友人で、彼の死顔をスケッチした八島先生でした。
     ご自分も反軍国主義の思想を貫き、1939年に渡米された事を聞き知っていました。
     
     この作品は、先生の二人の恩師の方をモデルとする教師(やしま先生)が、学校に居場所を見つけられず存在を認められていない主人公を見守り導き、彼の生活の背景を改めて同級生たちに気付かせ、さらに彼の特技を披露する機会を与えたというお話です。

      学校生活の中では伺えない生徒一人一人の家庭環境。
     それは黒板の前では必要のないことですが、教師は熟知し考慮たうえで生徒たちを導いていくことが大切であることが伝わってきます。
     学習に喜びを見いだせる子どもだけが、人として存在価値があるわけでは無い事をいそべ先生は作中で静かに周囲の生徒に伝えていきます。
     
     お話は90年も前の日本の小学校が舞台ですが、内容は現代にも見られる差別やいじめについて描かれています。
     他人を「人間」としての尊厳のまなざしを失い見つめるところから、愚かしい蔑みや先入観・偏見が生まれます。
     この世に生を受けた者は等しく存在し生きる権利のあることを大人になっても忘れない人物に育って欲しいと願ってやみません。

     人は認められ、初めてその社会(共同体)の中で、心置き無く呼吸でき生かされる存在となるのだと教えられる作品でした。

    投稿日:2010/08/31

    参考になりました
    感謝
    5
  • 心にしみること

    この絵本を読み終えたとき、息子と奥さんにしばらく静寂があった。
    その後、奥さんは「作家の強い思いが絵にこもっている」と言った。
    自分は、絵の間を埋める凝縮された言葉に強い思いを感じた。
    若い頃当たり前のようにあった、差別とか身分だとかを思い出した。

    居場所がなかった少年が、卒業の年の学芸会で演じたカラスの鳴き声で存在感を示した。
    学友は自分たちが少年にしてきたことを思い涙を流した。
    保護者達は、少年をたいしたもんだと涙を流した。
    少年はカラスの鳴き声に、自分の暮らしと、自分が小学校に通学してきた6年を表現したのである。
    素晴らしい事だと思う。
    この少年の素質を見抜いて、表現させた教師も素晴らしい。
    小学校教育はこうでなくては。
    ひとつひとつに作者の強い思いが感じられて、ひとつひとつが心にしみこんできた。

    今、6年生のクラスで、この本を読み聞かせて皆を感動させる自信はない。
    クラスの数名でも、この絵本を正面から受け止めてくれたらそれだけで良いと思う。

    心にしみる本だと思いました。

    投稿日:2009/01/31

    参考になりました
    感謝
    3
  • 八島太郎氏のことを知らなかったので 調べて見ました

    彼の生き方 軍部や財閥を痛烈に批判してアメリカに移住します。

    小林多喜二が拷問にあい 死んでしまうのですが その死に顔を描いたとのこと 彼の生き方も 自分に正直に生き アメリカで絵本を書いたのが からすたろう(彼の作品の一つです)

    昔の学校でも 虐めがあり いつも つまはじきにされていたんですね
    いつも クラスの しっぽに ぽつんと くっついていました。
    やぶにらみの 目つき 彼は 自分が見たくないものを このようにしていたのですね。
    なんだか 涙が出てきますね・・・・  しかし 彼の感性。すぐれた持ち主でったことが分かります。
    だまって いろいろなものを見ていましたし 音を聴き 虫たちを 見つめるのです(一人で )

    彼は そんなに いじめられていても 一度も休まず 学校へ通うのです!
    6年生の時に出会った先生   いそべ先生の存在は 彼にとって大きかったですね!
    彼の良さを見いだしてくれたのですから 絵も よめないような習字も
    カラスの泣き声や 特徴を先生は細かく捉えて才能を見いだしてくれていたのです

    先生は学芸会で発表の場を彼に与えてくれたのです
    本当に どんな人に出会うかが、生き方に大きく左右するのだと思います!

    出会い それは 運命的な出会いなのかも知れませんね。
    彼は 家の仕事を手伝いながら しっかりと生きていたのです まじめに
    先生のおかげで 彼はみんなから みとめられて「からすたろう」とよばれます
    奥の深いお話でした(生き方を教えられます)

     この絵本を 二人の恩師に捧げますとあります。
    コルデコット賞をもらうのです

    八島さんの生き方が この絵本の中に込められているのですね!

    大人にも このお話が分かる子供にも是非読んでほしい絵本です
    又 機会が有れば読んであげたいです!(昔 こんな子供がいたことを伝えたいです)   

    投稿日:2011/10/09

    参考になりました
    感謝
    2
  • きつい一冊

    • ちょし★さん
    • 30代
    • ママ
    • 熊本県
    • 男の子10歳、男の子9歳、男の子8歳

    4年生の教室での読み聞かせに使用しようと思っているところです。
    「ゆるキャラ」的なものに慣れている今の子供達に、この本は、きっときつい一冊だと思います。
    時代背景も 理解できないかもしれません。
    私自身、表紙の絵に対して ちょっと尻込みしてしまいましたもの。

    でも、手に取り読んでみて、ずしりと心に来るものがありました。

    個人的には何の恨みも妬みもないのに、周りに同調して 他人を貶めたり、貶められたり・・。
    私にも ことの大小はあれ、記憶にあります。

    子供は大人の鏡。だから子供社会は大人のそれの縮小版と言っていいと思います。より世界が狭いぶん、残酷さも増します。
    物語では 学校の中の話ですが、いくつになっても、どこに行っても、似たような事は起こります。

    そんななかで、何人 自分の良さに気づいてくれる人がいるか・・、自分は人の良さをどこまで受け入れる事が出来るか・・。

    そんな いろいろな事を考えさせられる、ぜひ子供達に読み聞かせしたい一冊です。

    投稿日:2008/06/03

    参考になりました
    感謝
    2
  • 涙で読めない・・・

    よく図書館の推薦図書で見かける「からすたろう」という本。そんなに良い本なのかしら・・・?と子供の読み聞かせの為でなく自分の為に借りてきました。

    私の小学生時代も同じようなことがおそらくありました。「チビ」のような
     クラスでいつも存在が目立たない子。
     嫌なあだ名をつけられ、からかわれていた子。
    幼かった私には、そんな子の存在は気づいていても、その子がどんな気持ちで学校で過ごしていたか、どんなことに興味を持っているかなど、全くわかりませんでした。知ろうともしなかったのだと思います。でもそれが子供というものなのかもしれない。罪がないけど、知らないうちに残酷なことをしたり、言ったりします。

    こんな時、周りに「いそべ先生」のような先生や大人がいてくれたら、そんな「チビ」のような生徒に一筋の光を照らすことができるかもしれません。

    最後のがくげい会の場面で、「いそべ先生」が「チビ」の6年間の心情をクラスのみんなに説明します。私はそのシーンは涙で字が見えずなかなか読むことができませんでした。

    「いそべ先生」はチビのすばらしさを、よ〜く見抜いていました。からすの鳴きまねはもちろんのこと、6年間1度も学校を休むことがなかった、強い心の持ち主だということも。

    私も「いそべ先生」のように、外見や噂に惑わされずに人の真の姿を見抜けるような人間になりたいものだなと思いました。

    できるだけ多くの人にぜひ読んで欲しい本です。

    投稿日:2008/03/04

    参考になりました
    感謝
    2
  • 恩師にささげた絵本の名作

     この絵本の、日本での初版は1979年だが、元々はアメリカで『CROW BOY』として1955年に出版されています。
     作者のやしまたろう氏は1908年に鹿児島で生まれたれっきとした日本人です。
     日米開戦が起こる前、1939年にアメリカに渡って、そこで絵画や絵本創作の活動をしていました。
     やしま氏のそんな絵本がアメリカから遅れること24年、日本で出版されることになった時、やしま氏はどんな感慨をもったことでしょう。
     日本版の絵本には、つまり1979年3月12日と日付の入ったやしま氏の献辞がついています。
     献辞には、この絵本を二人の恩師にささげる、とあります。

     この絵本の主人公、後半に「からすたろう」と呼ばれるようになる少年は村の小学校にはじめてはいった頃からしばらく級友たちから「ちび」と馬鹿にされ、のけものになっていました。
     少年にとってつらい学校生活が5年も続いて、6年生になった時担任の先生が変わります。新しい先生は少年にやさしく、少年の長所もたくさん見つけてくれました。
     そして、その年の学芸会の日、先生は少年にも時間を与えます。
     少年が演じたのは「烏のナキゴエ」。
     少年は実に見事に烏の鳴き声を演じました。
     何故少年が「からすたろう」と呼ばれるようになったか、もうおわかりでしょう。
     このなきごえを聞いた級友も大人たちも、少年を馬鹿にはしなくなったのです。

     人には個性があります。その個性は特に隠れたままの時もあります。
     それを見つけ出してくれる人こそ先生なのかもしれません。
     おそらくやしま氏にも、少年の担任となったような先生がいたのでしょう。
     だから、この絵本の日本版に恩師への献辞を書いたのだと思います。

    投稿日:2018/11/11

    参考になりました
    感謝
    1
  • からすの鳴き声のところは感動した

    • doruさん
    • 40代
    • その他の方
    • 兵庫県
    • 姪10歳

    この話は今でも通じるお話ですね。同じように学校に行く子どもにも個性があります。この主人公は、学歴重点主義の学校教育の中でははみ出しています。でも、何もしていないということはないのです。ただの天井を飽きることなく見つめたり、窓の外を見つめたり、いろいろ退屈することなく眺めている子どもでした。そんな主人公にも、いそべ先生に出会ってからかわりました。6年生のとき、いそべ先生にあわなかったら「とんま」なまま卒業していたでしょう。主人公の才能?(能力?)何だろう? 自然を観察する力を見て、感心します。そして作者はこのページを描きたかったに違いない。カラスの鳴きまねをするところ、主人公が真似るカラスのいろいろな行動の声が、無音であるはずの絵本から聞こえてくるような迫力を持って迫ってきます。6年間「とんま」だと思われていた主人公がからすたろうと呼ばれる瞬間です。感動しました。

    投稿日:2010/12/19

    参考になりました
    感謝
    1
  • 世界中で読み継がれていってほしい

     アメリカの図書館で何度も目にしていた“Crow Boy”。 
    コールデコット賞次席だったことも、絵本ナビでの評判も知っていたのですが、あの絵の雰囲気がなんだか特殊なものに思え(アメリカの絵本の中に並べられていると余計にそんなふうに感じるのかもしれません)、どうしても手にとって見る気持ちになりませんでした。

     でも、やっぱり評判どおりの素晴らしい絵本! 昔も今も、そして、日本でもアメリカでも、世界中どこででも有り得る偏見やいじめ・・・だからこそ、時代を超えて読み継がれていってほしい、いろいろな国の子どもたちに読んでほしい、そんな絵本です。

     娘も、からすたろうの特技を知って、「みんな、いいところや、得意なものがあるんだよね。」と言っていました。子どもはみんな素直に感動するやわらかい心も持っています。
     でも、大人は、子どもの中の「いいところ」や「得意なもの」をなかなか見つけてあげることができません。それは、きっと「一般的な評価」ばかりにとらわれ、その評価に当てはまらないものはすべて「無意味なもの」と思ってしまうからなんでしょうね。

     「からすの鳴きまねなんて、上手になっても何の意味があるの?」と思ってしまいがちですが、それを「隠れた才能」として見出してくれた磯辺先生・・・子どもにとって、先生との出会いは、その後の人生をも左右するほどの大きな影響力をもつんですね。

     「ありがとう、フォルカーせんせい」と並んでお薦めの絵本です。

    投稿日:2010/11/23

    参考になりました
    感謝
    1
  • こんなお話とは、想像もつかなかった。

    • おしんさん
    • 40代
    • ママ
    • 鹿児島県
    • 男の子23歳、女の子21歳、男の子18歳

    その子は、小学校に入学した日、床下に隠れて出てきませんでした。
    先生を怖がって、何ひとつ覚えることもなく、友だちもなく、いつもひとりぽつんとしていて、のけものにされていました。体が小さいので、みんなは『ちび』と呼んでいました。
    そして、6年生になった時、磯辺先生が、担任になりました。磯辺先生は、その男の子のいい所を見つけてくれたのです。

    今までも、目にすることはあった一冊の絵本。表紙を見て、どこかの地方の民話か何かと思っていました。実際に読んでみると、なかなか深刻な内容でした。
    外見で判断して、のけものにするのは、いじめそのもの。本当は、すばらしい能力を持っているのに、それに気づいてあげられなかった長い日々のことを思うと、涙なしでは読みすすめられませんでした。
    『からすたろう』の気持ちに寄り添って、どうするべきかを、じっくり考えることができればと思います。

    投稿日:2009/04/06

    参考になりました
    感謝
    1
  • おやすみ絵本

     ここのところの6歳孫娘のおやすみ定番絵本となっています。
     何冊か楽しい絵本などを読んだあと、眠りたくなった頃、読まされます。
     途中で、本当に寝てしまいます。
     こころなしか、安らかな寝顔です。
     ストーリーも絵も頭に入り込んでしまい、続きは夢の中かもしれません。

     同作家による「あまがさ」もそうでしたが、印象深い「こころの絵本」だと思います。
     こころが通わない悲しみ、こころが共感する喜び。
     見事に描ききっていると思います。
     ロングセラーであり続けてほしいと思います。

    投稿日:2008/12/09

    参考になりました
    感謝
    1

51件見つかりました

最初のページ 前の10件 1 2 3 4 5 ... 次の10件 最後のページ

※参考になりましたボタンのご利用にはメンバー登録が必要です。

この作品にレビューを投稿された方は、こんな作品にも投稿しています

どうぞのいす / はらぺこあおむし / しろくまちゃんのほっとけーき / おつきさまこんばんは / きんぎょがにげた / いないいないばあ / もこ もこもこ / はじめてのおつかい / がたん ごとん がたん ごとん / だるまさんが

絵本の人気検索キーワード

ぐりとぐら /  はらぺこあおむし /  バムとケロ /  こびとづかん /  はじめてのおつかい /  そらまめくん /  谷川俊太郎 /  ちいさなちいさな王様 /  いないいないばあ /  いやいやえん /  スイミー /  飛び出す絵本

出版社おすすめ



ディズニー映画『アナと雪の女王』10周年 本の世界に踏み出そう

みんなの声(51人)

絵本の評価(4.79)

何歳のお子さんに読んだ?


全ページためしよみ
年齢別絵本セット