不思議な題名とねずみ年ということで選びました。小学校中学年向けとあり114ページと長いので、息子に毎日少しずつ読んでみました。
アニマン市という動物の住む市で起きた不思議なお話が、6つオムニバス形式で収録されています。
「窓のむこう」は、古くなった家の窓を、古い家の窓枠ごと入れ替えたら、窓から見える風景が変わってしまったという話です。それもきつねにしか、その風景が見えないということで、少し怖いようなお話だと思いました。話は違いますが、安房直子の「きつねの窓」を思い出しました。
「二つのボール」は、うさぎのラビが部屋に帰ったら、二つのボールがずっと動いていたという話です。ボールは会社にまでついて来てしまい困ってしまいます。その人にだけ起こる不思議な現象というのは、止める術もなく、本当にこんなこがあったら困ってしまうだろうと思いました。
「こまった手紙」は、かえるのコルクにフライパンやエンピツけずりから不思議な手紙が届くという話でした。セッケンから100万円を返してほしいと督促状が届くというのが、とてもおもろしいと思ったのですが、反面本当にこんなこが起こったら怖くて仕方がないかもしれないと思いました。
「あしたへいったねずみたち」は、ようふくだんす型のタイムマシンで明日に来てしまった2匹のねずみの話です。ねずみたちは、自分たちが前の日に戻った途端にねこに食べられたという話を聞きます。明日を見に来たのに、戻ったら死んでしまうという話を聞かされるのは、とても衝撃的でした。さて、ねずみたちはどうしたのでしょうか?
「ダルマになる山」は、話を書く仕事をしているチーホー先生が、子どもの頃に、入ってはいけないという塀をくぐってしまった話です。
「あしたへいったねずみたち」と同様に、好奇心の進む先の怖さを感じました。
「ほほえむきつね」は、ブタノさんが電車に乗っていた時に出会った笑顔の素敵なきつねの話です。
どの話も読み終わった後、空虚感や、実際には存在しない物を目に見える形にして表されたような驚きや不思議さを感じるお話ばかりでした。心の中がざわざわとする不思議な読後感が残ります。