「おばあのものがたり」 みんなの声

古事記や日本書紀のエピソードに想を得た作品。
日本の五穀（米、麦、粟、稗、小豆）の起源を描いています。
イネという９歳の視点で描かれます。
イネはおばあと暮らしていますが、ある日、家にお侍がやってきて、
食べ物の催促をするのです。
調理中のところを見ない約束でおばあはご馳走を作り始めますが、
目やに、耳くそ、鼻くそ、おならなどを混ぜていたのです。
お侍はこっそりそれを見て激怒し、おばあを殺してしまいます。
そのおばあの遺体から、五穀が芽吹く、という訳です。
人間が捨てる汚いものが、作物（＝食料）を育てる、という事実が切々と伝わってきます。
あとがきにそのあたりが丁寧に書かれてありますから、
そこもしっかり読んでほしいです。
伝承神話からの再話、ということで、
シンプルな淡い単色で描かれ、タイムワープしたかのような印象です。
唯一夜光貝だけが独特の色調となっており、まさしく光を感じました。
大胆な物語に、伝承の威力を感じました。

絵本原画展で、この作品に出会いました。

絵本の帯にあるように、古事記、日本書紀にも記された
穀物の起源の物語です。

おばあが、お侍さまのために食事をつくるのだけれど、
作る時に、「戸を閉めますよ、見てはいけませんよ。」と
言って行くのですが、お侍さまは怖いもの見たさでしょうか…戸を
開けてしまい、とんでもない光景を目にします。

おばあの汚い作り方に、私もショックを隠しきれませんでしたが、
娘は、へへっ！こんな風に羊羹作るんだね〜と言っていました。

読み終わってからも、どう受け入れたらよいのか難しかったので、
あとがきを読みました。司修さんの伝えたかったことは、
『有機農業では、人間によって棄てられたものが堆肥となって
美味しい野菜を生み出していました。神話を用いていると
言えるほどでした…土から生まれるものを食べて、わたしたちは
生きているのです。』とおっしゃっている所から、納得出来ました。

私が司修さんを知ったのは、『まちんと』がきっかけでした。』
絵がとても素敵で、戦争のお話ですが幼児にも受け入れやすい
絵でうちの娘にも読み聞かせした絵本です。

この作品では、穀物の豊かな茶色がメインで魚や夜行貝の美しい
色に魅了されます。

残酷な所もありますので、お話の後に作者の伝えたいことを
話してあげると良いと思います。