「絵本・大草原の小さな家」の1冊ですが、日本ではまだ翻訳されていないようです。こちらでは、すでに私が知っている限りでも14冊は出ていて、その中には、後にローラの夫となるアルマンゾの子ども時代を描いた「農場の少年」の中のお話も3冊含まれています。
これは、童話「大きな森の小さな家」の中からのお話です。まだ一家が「大草原の小さな家」に引越しをする以前の物語。娘も、どのお話にも共通する書き出しの部分が大好きで、いっしょに声に出して読みます。
“Once upon a time a little girl named Laura lived in the Big Woods of Wisconsin….
Laura lived in the little house with her Pa her Ma…and their good old bulldog Jack”
同じ始まりというのは、子どものの心をほっとさせるものなのですね。すーっと物語の中に入っていける、という点でもそうですし、このお話も決して自分の期待を裏切らない、という安心感も与えてくれるのだと思います。
ウィスコンシンは、1年のうち3ヶ月も4ヶ月も雪に覆われる地域ですが、そんな寒い中でも、ローラたちは楽しいことをたくさん見つけながら、長い冬を過ごします。このお話では、メイプルシロップの作り方まで(木に穴を開けて、樹液を取り出すところから)描かれていて、親の私も知らなかったことなので、とても新鮮な驚きがありました。とうさんは、ローラとメアリーに、どうしてこの時期に降る雪が“sugar snow”を呼ばれるのかを、やさしく話してくれます。
娘が好きなのは、ローラが、表から帰ってきたとうさんの袖に積もった“sugar snow”を食べてみる場面と、とうさんがおじいちゃんの家からおみやげに持ち帰った”maple sugar cake”をなめてみるページ。メイプルシュガーも、メイプルシロップをかけたパンも、今の甘いキャンディーやケーキなどに比べたら、本当にシンプルな味だったでしょうに、本当にこれ以上の贅沢はない、という顔で、おいしそうに食べているローラとメアリーが、ある意味では、とてもうらやましく思えます。
娘も、おじいちゃんがメイプルシロップを作っている場面を見ながら、「昔は、グリルもなかったから、お外で煮ているんだよね。Jも、こういう暮らしのほうがいいな。」と言うので、5歳にして「古きよき時代」のよさがわかるのかなぁ、と感激しながら、「どうして?」と聞いてみると、「だって、ボンネットほしいんだもん!」と、まさに5歳の女の子らしい答えが返ってきて、笑ってしまいました。そう、ここ最近、ずっと「大草原の小さな家」と「ピーターラビット」のシリーズを続けて読んでいるので、娘は、ローラたちや、ピーターラビットのなかまたちがかぶっているひらひらのついたボンネットがほしくてたまらないのです!