おとぼけ顔の狼と、恐ろしげな豚。狼は悪役と決め付けていた世間に、大逆転のクリーンヒットを放った絵本です。あの狼が、本当はおばあちゃんの誕生日にケーキを焼こうとしていたとは、……失笑です。そのような事実はつまらないからと無視して、よく知られた吹き飛ばす場面を脚色したとは、ジャーナリズムの世界ではよくあること(?)なのでしょうか。ひとつの事件を、立場の違う視点から描いた愉快な絵本は、ぜひ世のジャーナリストたちに読んで笑っていただきたいなと思いました。息子もわたしも大好きな作品です。
今回、日本語で読むにあたり、邦訳のすばらしさに感嘆しました。乗りに乗っている現場密着のジャーナリストが記した、そんな勢いを感じる日本語でした。